伊勢神宮で年間に使う塩は約160キログラムとそれほど多くはありません。そのため、塩づくりは毎年7~8月にかけて行われるだけです。ここでは昔ながらの方法で塩がつくられています。ただし、保管しやすいように、塩を三角形に焼き固め、神事に使用する都度、砕いて使います。おにぎりの形をした三角形の塩は、お浄めなどの神事に使われ、料理に使われることはありません。伊勢神宮の塩田が海岸ではなく五十鈴川のほとりにあるのは、たんに良質な塩ができるというだけの理由からでしょうか。五十鈴川は伊勢神宮にとって神聖な川です。日本では「水に流す」という言葉があるように、すべての汚れは川に流され、最後は海に至りきれいになるという考え方があります。海はあらゆる穢(けが)れをも内包しているのです。その海の水も塩の満ち引きによって一度神聖な五十鈴川に流れ込むことによって、穢れが浄化されるのです。神様に供える塩に、現世の穢れが含まれていてはならないのです。 |
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伊勢神宮を流れる五十鈴川の河口部分。この川は伊勢湾に注いでいます。伊勢湾の汚れは五十鈴川河口から少し遡った場所にある御塩浜の塩を汚すことにもなりかねません。 |
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