ビールに及ぼす水の役割 |
ビールは一般にほろ苦いと表現されます。それ以外に美味しさの表現としてはコク、キレ、喉ごしといった言い方があります。ところが、苦味の他はいわゆる味そのものというよりは、感覚に近い表現です。
ビールの味は原料である麦芽、ホップなどの品質と製造方法によってかなり左右されるはずです。しかし、いまの日本では大麦もホップもほとんど作られてはおりません。そのうえ、大麦は麦芽に、ホップもペレットのようなものに加工されたものが使われています。日本には2百数十社の地ビールメーカーがあるといわれていますが、自前の麦芽やホップを作ることができるほどの大きな地ビールメーカーはほとんどありません。
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となれば、どこの地ビールも同じ味かといえばそうではありません。むしろ個性的な味を競いあっているのです。ビールを作るのに多くの水が使われるといわれています。ただし、麦芽の製造、容器や器具の洗浄といったものも含めてです。その中で、ビールの味に直接関係する醸造水は麦汁を作るのに使われる水です。ビールのアルコール度数は大体5~6%ですから、約95%は水から作られているといってもいいのです。つまり、水が味に及ぼす影響は大変に大きいのです。
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ビールは生き物です。品質の保持のため、発酵中のいわゆる「若ビール」の糖度やpH値を測定します。これらの数値は各地ビールメーカーやビールの種類によっても異なっています。 |
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日本の水は美味しいといわれていますが、それでも、地域によって含まれる成分が違い、味も微妙に違います。この水に含まれる成分の違いが、さらに酵母の働きにも影響を与え、ビールの味を個性的にするのです。
一方、水の味が違うとかえって不都合になる場合もでてきます。全国各地に工場を持ち、統一ブランドで販売する飲料水などです。生産地ごとに味が違うと、消費者からのクレーム対象となるからです。そのため、いろいろな方法を使い、水に含まれる成分がどの工場でも同じになるよう調整しなければならなくなるからです。
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