水の話
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都市の排水

水の汚れの正体は有機物

 汚れた金魚鉢の水は水ごと取り替えればきれいになります。ところが金魚鉢の水を取り替えても、何日か経つと再び汚れてきます。原因の一つは金魚に与えるエサや排泄物が水の汚れになるからです。そこで水を取り替えたときに金魚を別の水槽に移しても、金魚鉢の水の汚れは進みます。水槽の内側や石について残っていたわずかな汚れなどが原因です。これらの汚れの正体は有機物です。
有機物とは、もともとは生物を構成する物質という意味です。つまりタンパク質、脂質、炭水化物などで構成され、いずれも炭素を含んでいます。そのため、燃やせば黒い炭になってしまいます。汚れの原因となる有機物には様々なものがあります。枯れた植物、動物の排泄物や死骸などすべて有機物です。金魚のエサや排泄物も有機物です。料理の食材となる野菜、穀物、魚介類、肉類などはすべて有機物です。
金魚を別の水槽に移し替えればエサや排泄物が増えることはないはずですが、日が経つにつれ水の汚れは進行します。水や水槽の壁が緑色になり、水はどんどん不透明になってきます。嫌な臭いも発します。こうした状態を、水が腐ったと表現します。しかし、水自体が腐るということはありません。
嫌な臭いの元は水槽の中で増えた嫌気性微生物によってつくり出されたアンモニアや硫化水素です。


金魚
水の汚れ
金魚などの魚を飼っている水は、放っておくと汚れていきます。汚れの原因は魚のエサや排泄物に含まれる有機物です。


水を汚す藻類

 水中に有機物があるからといって、水が汚れているといい切ることはできません。水草が生え、魚が泳ぐ川の水はきれいです。ところが水草も魚も有機物そのものです。生き物はやがて死を迎えます。川の中には魚の死体や枯れた水草があるはずです。しかし自然の状態の川はそれだけで汚れることはありません。有機物が下流へと流されることで川の汚れを防いでいるということもありますが、実は有機物が分解されているというのが大きな理由です。
金魚がいなくなった水槽でも、そこにエサや排泄物などの有機物が少しでも残されていると水は汚れていきます。有機物は水に溶けないものもありますが、多くは水に溶ける汚れとされています。金魚鉢の中では水に溶けた有機物を栄養とする微生物が増殖します。その結果、約半分の有機物が分解されて窒素や二酸化炭素となって大気中に放出され、その分水はきれいになっていきます。しかし現実には水は緑色になり、金魚鉢の透明なガラスも不透明になっていきます。緑色の正体は藻類です。
汚れた水は有機物が分解することできれいになるのは確かですが、その一方で藻類によって水の汚れも進むのです。



藻類
藻類は光合成によって生長するため、光と二酸化炭素を必要とします。水の中の有機物を栄養として藻類が成長することで水は汚れていきます。


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