ところで、手漉きの和紙と機械で漉いた和紙はどこが違うのでしょうか。紙としての強度はほとんど変わらないといわれています。しかし、障子などの場合、通気性のある手漉き和紙では、ほこりがついても叩(はた)けばきれいに落ちますが、機械漉きで作られた和紙は、紙の中にほこりが詰まるといわれます。水を大切に扱う心が、和紙の品質にも現われているようです。
木版画に使われる和紙は、バレンで何百回も裏側からこすられます。多色刷りの場合は、100枚以上の版木が使われることもまれではありません。とにかく丈夫であることが求められます。そこで紙を堅くすると力をいれてこすらなければならなくなります。一方で、絵の具をよく吸い取る柔らかさ、発色のよさも求められます。版画を刷るときに、力を入れずにこすることができ、丈夫で柔らかい紙は、手漉き和紙をおいて他にはありません。 |
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堤灯やあんどんなどの照明器具にも和紙が使われていました。ロウソクなどの光源が、風で消えないようにするとともに、和紙は光を反射、屈折、回折、散乱、透過させるため、柔らかな光を作るからです。こうした和紙の特性を生かし、最近では現代的なデザインの照明器具にも用いられています。 |
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