水の話
 
強い生命力を備えた植物
湿気と日陰、そんなイメージの強いコケ植物ですが、目を凝らしてみると、コケ植物は様々な場所で見つけることができます。
例えば大都会の中でも住宅街のブロック塀の下や側溝の縁、オフィス街でも街路樹の下、歩道に敷き詰められた歩石と歩石の間のわずかな隙間などで小さな緑の塊を見かけます。
コケ植物は意外と過酷な環境の中でも生きられるのです。

都会の中で一番多く見られる自然の緑
 普段目にする緑といえば、樹木や草花といった植物が連想されますが、都会の中では、それらの緑のほとんどは人の手によって植えられたものばかりです。都会の中で自然の緑を探し出すのはとても難しそうに思われます。ところが、大都会の中でもコケ植物は自然の緑として簡単に探し出すことができます。
コケ植物が生えているのは土の上だけとは限りません。ブロック塀や木の幹、あるいは建物の屋根などの表面にも生えていることがあります。コケ植物が一般的な草や木といった植物と違うという想像はつきますが、一体、何がどのように違うのでしょうか。
コケの絨毯 コケ植物のことを昔は木毛と書いていたこともあるようですが、高山などで見かける赤い実をつけるコケモモのように小さな植物の代名詞のように使われる場合があります。また、食虫植物のモウセンゴケやシダ植物のコケシノブのようにコケの名前がつけられていたり、アユが食べる藻類をコケと呼んだりすることがあります。さらに、キノコのことをコケと呼ぶ地域もあり、コケ植物とはどんな植物かということをいっそう分かりにくくしています。
アスファルトの道
ブロック塀
アスファルトの道やブロック塀の上など、大都会の中でも全く生えていないところを探す方が難しいくらいコケ植物は至る所に生えています。

コケ植物と他の植物との違い
コケの大地 一口に植物といっても、分類によっていくつかのグループに分けられます。身の回りで一番よく見かけるのが、いわゆる草とか木で、いずれも種子をつくって子孫を増やし、被子植物と裸子植物に分類されます。また、ツクシやワラビのように種子の代わりに胞子で増える植物があり、シダ植物と呼んでいます。植物の中で最も下等なものが緑藻類で、進化の過程で海から陸へと進出した初期の植物の子孫です。コケ植物はこの緑藻類とシダ植物の間に分類されます。
コケは漢字で「蘚」あるいは「苔」と書き、蘚苔(せんたい)類とも呼ばれ、同じコケ植物とはいっても、蘚と苔では種類が違います。コケ植物は日本には約1,800種あり、世界中では20,000種ものコケ植物が知られ、蘚類、苔類、そしてツノゴケ類の3種に大別されています。コケ植物が発芽するのは主に春頃で、11月頃まで成長を続けます。特に成長がいいのは秋で、この頃のコケ植物は1年のうちでもっともきれいだといわれています。


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