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胞子で発芽し、受精して成長。2回の生涯を送るコケ植物 |
コケ植物もシダ植物も同じように胞子で増えます。コケ植物を大きくしたような形をしたシダ植物もあります。実際、コケシノブというシダ植物に似た形のシノブゴケというコケ植物もあります。しかし、コケ植物とシダ植物は大きさだけの違いではありません。
お正月の鏡もちなどの飾りとして欠かせない植物にワラビに似たウラジロというシダ植物があります。シダ植物の多くは葉の裏に胞子をつけますが、コケ植物は葉の裏には胞子をつけません。コケ植物はどこに胞子をつけるのかといえば、スギゴケの場合は茎の先端から伸びた花のような形をした部分です。これを胞子体と呼んでいます。
コケ植物もシダ植物も、一生の間に精子と卵子の受精によってつくられた体で成長する期間と、胞子から成長した体で増える期間の2つの生涯を持っています。受精によってできた体は、成長すると胞子をつくる胞子体となります。胞子体でつくられた胞子が発芽した体は、精子と卵子をつくる器官を持ち、配偶体と呼ばれています。
一般に、シダ植物は胞子体の部分が発達した体で、コケ植物は配偶体の部分が発達した体です。また、シダ植物は水や栄養を吸収する根と、それを体の各部に運ぶための道(維管束)がありますが、コケ植物には根も維管束もありません。コケ植物にも根のような部分はありますが、主として体を支えるだけの役目で仮根と呼ばれています。しっかりとした根がないため手で引くと、簡単に地面から抜けてしまいます。水分や養分は葉や茎から直接吸収します。
コケ植物とよく似たものに地面や木の幹などの上を這うように生える地衣類があります。しかし、地衣類は菌類と藻類の共生体で、厳密にいえば、動物でも植物でもない生物体です。コケ植物は葉緑素を持ち光合成を行っています。つまり、必ず緑色をしています。モスグリーンのモスとは英語でコケのことを指しています。もっともモスグリーンの語源は比較的新しく、100年ほど前に流行色として命名された表現です。また、コケ植物には葉と茎の区別があります。
それに対し、地衣類は黄色、灰色、赤茶、薄緑などの色をして、茎と葉の明確な区分けがありません。触ると、どこか粉っぽい感じがします。ところが多くの地衣類にはハナゴケやキゴケのように、コケの名がつけられています。深山の木の枝から垂れ下がるようにしているサルオガセも地衣類です。 |
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一見しただけでは同じように見えるコケ植物ですが、近付いてよく見ると、いろいろな姿をしています。コケ植物の名前はスギやヒノキ、日本髪の中へ入れる髢(かもじ)、あるいはタヌキの尻尾などに似ているということや、水のたくさんある場所で生えるなど、意外と単純に付けられた名前が多いようです。 |
カモジゴケ |
シッポゴケ |
コバノチョウチンゴケ
(写真提供:苔の園) |
ヒノキゴケ |
タチゴケ |
スギゴケ |
シノブゴケ
(写真提供:苔の園) |
ハイゴケ |
ミズゴケ |
コウヤノマンネングサ |
フジノマンネングサ |
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