水の話
 
姿・形を変えて巡る水
ベランダに置いた金魚鉢を放っておくと水は減っていきます。特に気温が高い時季は早く水が減っていきます。金魚鉢から蒸発した水はどこへ消えたのでしょうか。水は消えたのではなく、水蒸気に形を変えて大気という別の場所に移動しただけです。やがて雲の一部となり、いずれは雨となって地上へ戻ってきます。地球上にある水はすべてが循環を繰り返しています。

進む渇水被害
 今年も暑い夏でした。気象庁は今年6月における世界の地上気温は1880年以降最も高い値になったと発表しています。地球温暖化が原因です。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、このまま地球温暖化が進行すれば、今世紀末までに地球の平均気温が最大で5.8度上がると予測しています。
地球温暖化の影響としてまず考えられるのが海水の膨張や氷山・氷河が融けることによる海水面の上昇です。地球の平均気温が5.8度上昇すると海水面は80センチ以上上昇し、東京や大阪など沿岸部の多くの地域が水没します。地球温暖化は海水も温めます。海水温は陸地の気候に大きな影響を与えます。地球表面の7割を占める海水温度が1度上昇するだけでも、そのエネルギーははかり知れません。温帯地方が亜熱帯や熱帯の気候に変わってしまい、日本でもマラリアが流行すると言われています。南方の昆虫なども暖かくなった北に移動し、生態系は大きく変化します。
海水温の上昇は低気圧を発達させ、台風をより巨大化させます。海水の蒸発量を増やし雨を降らせる雲をたくさんつくるため豪雨も多くなります。気温の上昇は大陸の内陸部では地表の乾燥化を促進させます。
最近の日本でも本土へ上陸する台風の増加や、渇水と豪雨の差が激しくなっていますが、これも地球温暖化がかなり影響しているからです。特に1965年頃から雨の少ない年が増えはじめ、小雨の年には渇水被害が発生しています。水不足になる年が増えれば、これまでとは違った水の使い方を考えることが必要となってきます。

近年は豪雨になると1日で年間平均降水量の3分の1近くの雨が降ったり、逆に降らないときは非常に降水量が少ない年が繰り返されています。雨が多すぎると土砂災害の心配がある一方で、水がなくなると毎日の生活に支障が出てきます。地球温暖化の影響もあって、これからは渇水となる年が増えるとの予測があります。
渇水 紙面

限りがある水の量
 冬に降る雪も温暖化の影響で少なくなっています。山での積雪が少なければ雪融け水の量も減少し、夏場は渇水になってしまいます。ただ、渇水の年が増えたとしても、地球全体の水が減ったということではありません。地球全体でみると水は常に一定の量が存在しています。干ばつで大渇水となった場合でも、地球から水がなくなったのではなく、限られた地域で使える水が少なくなったということです。
水は常に水として存在しているわけではなく、条件によって雪や氷、水蒸気に形を変えます。地球上にあるすべての水の総量は約14億キロ立方メートルに及びます。そして最も多いのが海水で全体の97.5%です。次に多いのが南極などの氷山や高山の氷河などの氷で1.76%です。3番目が河川や湖沼、地下水などの水で0.77%、4番目が大気中に含まれる水蒸気となった水の0.001%です。植物や人間をはじめとした動物の体内にも水は存在しすべての河川の水の量に匹敵します。
14億キロ立方メートルもの水がありながらそのほとんどが海水で、淡水は全体の約2.5%しかありません。そして人が実際に使える水のうち地下水は約0.76%、湖沼の水は0.007%、河川の水は0.0002%と、ごくわずかしかありません。


メニュー|1 2 3 4 5 6次のページ