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一般家庭で1人1日が使う水の量は地域や季節によって異なりますが平均して316Lです。この水は使われた後は捨てられます。しかし、この水を人間の体と同じように循環して使用することができたならば、1人1日が使う水の量は大幅に減らすことができます。水を大切に使うというのは、無駄な使用をやめる、繰り返して使える場合は繰り返して使う、そして資源として再生させることです。 |
年間で640億立方メートルの水を輸入 |
水の使われ方は大きく農業用水と都市用水にわかれます。都市用水はさらに工業用水と生活用水にわかれます。生活用水にも家庭で使用する家庭用水と事業所などで使う都市活動用水があります。
日本で使用される水は年間で852億立方メートルです。このうち一番多いのが取水量ベースで農業用水の566億立方メートルと全体の約3分の2を占めています。農業用水のうち一番多く使われるのが水田の灌漑用水で95%です。次いで生活用水の163億立方メートル、工業用水の123億立方メートルです。ところが日本は多くの食糧を海外から輸入しています。食糧生産にはたくさんの水が使われ、輸入される食糧にも水が含まれています。工業製品を生産する時にも水が必要です。輸入している食糧や工業製品を自国でつくると仮定した場合に必要となる水の量をバーチャルウォーターといいますが、その量は年間640億立方メートルにも及びます。こうした分も合わせると日本では膨大な量の水が使われていることになってきます。
また、世界では安全な飲み水を利用できない人が11億人もいるうえ、水需要は今後も増加し水不足が深刻な問題になっていくと予測されています。 |
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工業用水の使用量は日本の工業発展とともに増加してきました。1965年から2000年までの35年間で水使用量は3倍に増えましたが工業用水のリサイクルが進んだため、河川などから取水する量は1973年をピークに減少しています。 |
78%が再利用されている工業用水 |
工業用水を取水量ベースで見ると、農業用水の4分の1以下となっています。工業用水は鉄鋼生産の時に使われる冷却用水、生コンクリート製造などに使われる原料水、染色産業に使われる洗浄水のほか製品処理水、IC産業や医薬品産業で使われる純水や超純水などがあり、相当量の水が使われているはずです。例えば上質紙1トンをつくるには約160トンの水が、鉄1トンをつくるには約180トンの水が必要だといわれています。その工業用水がなぜ農業用水よりも少ないのでしょうか。
工業用水は基本的に淡水が使用され、年間で約532億立方メートルが使用されています。ところが食品原料やIC産業、医薬品産業などで使われる超純水などを除けば、一度使用した水の78%が回収・処理をして再使用されています。残り22%の111億立方メートルの水を新たに補給します。
工業用水のうち新たに補給される111億立方メートルのうち、一番多いのが工業用水道からの補給水で40%近くを占めています。この工業用水道にも下水処理水を処理した水が含まれています。
一度使った水を再使用するときに問題となるのが水質です。上水道の場合は人の健康に直接影響するため、かなり厳しい水質基準が定められています。一方、工業用水の場合は(財)工業用水協会が標準水質として濁度(20度以下)、pH(6.5~8.0)、アルカリ度(75mg/L以下)、硬度(120mg/L以下)、蒸発残留物(250mg/L以下)、塩素イオン(80mg/L以下)、鉄イオン(0.3mg/L以下)、マンガン(0.2mg/L以下)の8項目を決めているだけです。塩分が高いと機械類が錆びてしまうため、冷却や機械の洗浄などに使う水質で厳しく求められるのは塩素イオン濃度です。 |
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水は様々な使われ方をします。農業生産や工業生産に欠かすことができません。また人に安らぎを与えてくれる水辺などの空間もこれからの社会にはますます必要になってきます。 |
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