日本には大小さまざまな湖沼が存在します。火山の影響で水が酸性となっているような一部の湖沼を除き、そこには多様な生物がすみ、人々は湖沼の恩恵にあずかっています。
湖沼は周囲を陸地に囲まれた閉鎖性水域で、一般には中央部の水深が深くなっています。一度流れ込んだ水は、ゆっくりと時間をかけて水の出口である川へ向かいます。川のように常に流れているのであれば、汚れた水が入り込んでもそこに留まることなく流れていきますが、水の流れが少ない閉鎖性水域では、一度入り込んだ汚れは、水域の外へすぐに流れ出ることはありません。
水の汚れといっても、濁りやごみのことだけを指しているわけではありません。一見すると透明で、ごみも浮かんでいないにもかかわらず、汚れている水もあります。実は全く汚れのない、100%の完璧に純粋な水は地球上には存在しないのです。
水は多くの成分を溶かし込みます。雨も地上へ降ってくる間に空気中の窒素や二酸化炭素をはじめとした成分を溶かし込みます。谷川の清冽な水でさえ、土の中のさまざまな成分を溶かし込んでいます。水の中に溶け込んだこれらの成分は、微生物や藻を育てる養分となり、魚をはじめとした水中の生き物たちを育むのです。しかし、このような水を一般には汚れていると言いません。水の中に溶け込んだ成分と、それによって育まれる生き物たちの種類や量のバランスが取れているからです。
ところが水中の窒素やリンが増え過ぎてしまうといわゆる栄養過多になり、微生物や藻類が大量に発生します。これを富栄養化と呼んでいます。人で言えば栄養の取り過ぎによって脂肪分が増えて病気になるのと同じようなものです。つまり、無色透明に見える水であっても、そこに含まれている成分が増え過ぎると、水が汚れていると言えるのです。
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