水の話
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暮らしを支える水
日本は国土の多くが樹木に覆われた山で成り立っています。世界の中では年間平均降雨量も多く水に恵まれています。山に降った雨は地下や湖沼に蓄えられます。湖沼は美しい風景をつくり出し、魚や水草などに生活の場を提供し、人々の暮らしを支えます。湖沼を守ることは美しい風景とそこに生きる多様な生物や人々の暮らしを守ることになるのです。

あらゆるものを 溶かし込む水

 日本には大小さまざまな湖沼が存在します。火山の影響で水が酸性となっているような一部の湖沼を除き、そこには多様な生物がすみ、人々は湖沼の恩恵にあずかっています。
湖沼は周囲を陸地に囲まれた閉鎖性水域で、一般には中央部の水深が深くなっています。一度流れ込んだ水は、ゆっくりと時間をかけて水の出口である川へ向かいます。川のように常に流れているのであれば、汚れた水が入り込んでもそこに留まることなく流れていきますが、水の流れが少ない閉鎖性水域では、一度入り込んだ汚れは、水域の外へすぐに流れ出ることはありません。
水の汚れといっても、濁りやごみのことだけを指しているわけではありません。一見すると透明で、ごみも浮かんでいないにもかかわらず、汚れている水もあります。実は全く汚れのない、100%の完璧に純粋な水は地球上には存在しないのです。
水は多くの成分を溶かし込みます。雨も地上へ降ってくる間に空気中の窒素や二酸化炭素をはじめとした成分を溶かし込みます。谷川の清冽な水でさえ、土の中のさまざまな成分を溶かし込んでいます。水の中に溶け込んだこれらの成分は、微生物や藻を育てる養分となり、魚をはじめとした水中の生き物たちを育むのです。しかし、このような水を一般には汚れていると言いません。水の中に溶け込んだ成分と、それによって育まれる生き物たちの種類や量のバランスが取れているからです。
ところが水中の窒素やリンが増え過ぎてしまうといわゆる栄養過多になり、微生物や藻類が大量に発生します。これを富栄養化と呼んでいます。人で言えば栄養の取り過ぎによって脂肪分が増えて病気になるのと同じようなものです。つまり、無色透明に見える水であっても、そこに含まれている成分が増え過ぎると、水が汚れていると言えるのです。


湖沼
日本には数多くの湖沼があり、地域の名所に数えられているものもたくさんあります。同時に人々の生活を支えています。
谷川
汚れとは無縁のように思われる清冽な流れの谷川でさえ、魚や水生昆虫などのえさになる藻を育てる栄養分があるので様々な生き物が生きています。


世界で最も厳しい 水質汚濁防止法

 日本で水の汚れが問題になりはじめたのは1960年代からで、高度経済成長の道を歩み始めていた時でした。工業を発展させるには大量の水が必要となり、その水は河川や地下水から供給されました。使われた水はそのまま河川や海へ放流されました。放流された水は地下へ浸透したり、河川を通じて湖沼へ流れ込んだりしました。
一方、工業の発展のおかげで人々の暮らしは格段に向上していきました。トイレも水洗式が当たり前になっていきました。食生活も大きく変化していき、従来の日本食以外に油分の多い洋食もたくさん食べられるようになり、その結果、食器を洗った後の水もそれまでとは比べ物にならないほど汚れたものになりました。こうした家庭から排出される水も川へ流され、湖沼に溜っていきました。
経済の発展によりそれまでほとんど人の住んでいなかったような場所が開発され、新たに工場や団地がつくられていきました。やがて各地で水の汚れが深刻化して昭和45年(1970年)に水質汚濁防止法がつくられました。この法律には罰則が規定されていました。水質汚濁防止法に違反した者は禁固刑または罰金刑を課せられたのです。つまり犯罪者として処罰を受けるという世界に例を見ないほど厳しい法律であったのです。


風呂 シンク 洗濯機
水質の悪化といえばかつては工場排水でしたが、いまでは風呂、台所、洗濯、トイレなどの家庭排水が大きな原因となっています。さらに最近では家庭排水に含まれる窒素やリンが水の汚れの原因とされ、その除去が課題になっています。


川
川や湖沼に捨てられたごみだけが水を汚す原因ではありません。目には見えない汚れもあるのです。


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