ため池はもともと生物種の多様な宝庫でした。ところが農業形態の変化と農地の市街化が進むと共に、ため池が持っていた本来の機能が失われて、ため池そのものが急速に数を減らしていきました。しかし農業用に使われなくなったため池であったとしても、都市の中では憩いの水辺空間や多様な生物の保全、洪水調整機能としての役割が見直されるようになっていきます。
名古屋市は昭和49年(1974)に「名古屋市ため池環境保全協議会」を発足させ、平成4年(1992)には「ため池保全要綱」を施行してため池の保全を図ってきました。その結果、名古屋市内には大都市としては珍しく現在も111個のため池が残されています。現在、名古屋市内には動物と植物を合わせて約6,000種の生物が確認されています。これらの生物のうち、希少種とされる生き物の多くがため池をはじめとした水辺に関係しています。
ところがため池の生物多様性も時代と共に変化しています。中でも問題となっているのが外来種の増加です。
水面には赤やピンクの美しい花咲かせるスイレン、紫色の花をつけるホテイアオイはウオーターヒヤシンスの別名を持っています。岸辺には黄色の花をつけるショウブ、水中ではオオカナダモや優美な名前のハゴロモモが揺れています。しかしこれらの植物は外来種の代表です。
オオクチバス、ブルーギル、タイリクバラタナゴ、カダヤシといった魚類やウシガエル、ミシシッピアカミミガメなどの動物も外来種として知られています。 |