西の湖に生えているヨシには、一面が青々としたヨシ原と、茶色に立ち枯れたヨシの混じったヨシ原とがあります。青々としたヨシ原はヨシ地焼きなどの手入れがされているところでしょう。ヨシの茎は、成長しても竹の子の皮のような葉鞘にすべてが包まれた白口葭と、途中までしか包まれていない赤口葭とがあります。赤口葭は、使い方によって葦簾や葦戸にきれいな模様を描き出します。その模様は100年以上経っても変色しないどころか、むしろ味わい深い色となっていくのです。
ヨシを使った葦簾や葦戸といった家具は、かつての日本の住まいでは重要な意味をもっていました。夏の日差しを遮り、住まいの風通しを良くしてくれたのです。そうした合理性だけではなく、蒸し暑い日本の夏を涼しげに美しく演出する素材としてもヨシは適していたのです。良質なヨシで作られたこうした家具は大切に扱えば100年以上も使うことができるのです。 |
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刈り取られたヨシは「葭場」で風乾され、長さを揃え、品質や用途によって選別されます。 |
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