江戸時代になると農業、漁業とも盛んになってきます。漁業では、様々な漁網法が開発され沿岸の漁場も開拓されていきました。食品の流通も発達します。調味料もそれまであった塩、味噌、酢のほかに砂糖、醤から発展した醤油、コンブ、カツオブシなどが加わっていきます。
献立はかなり豊富な食材を使い、調理の方法も発達します。ひとつの食材で様々な料理方法を紹介するいくつかの料理本が出版されました。それらの本で紹介されている食材として、貝の場合はミルガイ、アワビ、カキ、アカガイなどは見られますが、アサリは見当たりません。しかし、アサリ売りの商売は各地であり、大人に交じって子供も売っていたようです。アサリはやはり庶民の味だったのでしょう。
一方、将軍の食膳に入れてはならない食品がありました。野菜ではネギ、ニラ、ニンニクなど、魚ではサンマ、イワシ、フグ、サメなど、そして貝類ではアサリ、カキ、アカガイなどが挙げられています。臭いの強いもの、食当たりの恐れがあるもの、庶民の食べ物といった食材は嫌われました。
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江戸時代の料理書「四季献立」には、当時の割烹料理について、献立と料理法が書かれています。現代の割烹料理とほとんど変わりませんが、貝は「見る貝」「かき」「赤貝」「あわび」などでアサリは出てきません。 |
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