瀬戸内海は日本最大の閉鎖性水域といわれていますが、どこまでが瀬戸内海の範囲なのでしょうか。漁業法、領海法施行令、海上交通安全法、瀬戸内海環境保全特別措置法などによって範囲は変わっています。このなかで一番広い範囲を規定しているのが瀬戸内海環境保全特別措置法で、
- 和歌山県紀伊日ノ御碕(きいひのみさき)灯台から徳島県伊島及び前島を経て蒲生田(がもうだみさき)岬に至る直線、
- 愛媛県佐田岬(さだみさき)から大分県関崎(せきざき)灯台に至る直線、
- 山口県火ノ山下灯台から福岡県門司崎灯台に至る直線によって囲まれた海面並びにこれに隣接する海面とされています。
領海法施行令によると瀬戸内海全体の広さは19,700km2で、四国の面積に匹敵します。水深は平均31m、一番深いところは豊後水道にある速吸(はやすい)瀬戸で465mです。水深といっても、海には干満の差があります。瀬戸内海の中でも広島では干満の差が約4mになる場所があります。日本の海図で表わされる水深は、干潮で海面が最も下がったときを基準にします。一方、陸地の高さは満潮と干潮から割りだした平均水面を基準にします。
瀬戸内海といっても、このように広い範囲を指しています。当然、場所によって景観にはかなりの違いが見られます。大都市の集中する大阪府や兵庫県などがある東の海域と西の海域では水の色も島の数もかなり違います。そして昔ながらの美しい風景を見せてくれるのが多くの島々が点在する西の海域です。
瀬戸内海の瀬戸とは狭い通路という意味の「狭門(さと)」「迫門(さと)」という地形から来ているといわれ、海峡や水道と同じ意味です。ただ、瀬戸という名前は海だけに使われるわけではなく、陸上でも使われています。愛知県に焼物で有名な瀬戸市がありますが、ここも両側から山が迫っている地形から付けられた名前です。
瀬戸内海には多くの島があり、島と島の間は狭い水路となっています。そのため明石瀬戸、音戸瀬戸、宮窪瀬戸など70以上もの瀬戸と呼ばれる場所があります。瀬戸内海で有名なものにうず潮があります。潮の満ち引きによって狭い海峡を挟んだ両側の海水面の高さに差ができて、早い潮流が生じるために起きる現象です。鳴門海峡のうず潮はあまりにも有名ですが「瀬戸」の多い瀬戸内海では、うず潮が発生する場所がたくさんあります。愛媛県の大島に架かる来島(くるしま)海峡大橋からもうず潮が見られます。
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瀬戸とは島と陸、あるいは島と島に挟まれたような狭い水路を指す言葉です。写真のような島と島の間の水路は全て瀬戸です。
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川の流れのように見えますが、干満の差で生じた潮位の違いによって瀬のようになって海水が流れているところです。 |
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