今では安定したホタテ漁が行われていますが、ここまで順風満帆にやってこられたわけではありません。ホタテ養殖の研究を始めてから軌道に乗るまではカキの養殖とサケ・マス漁が中心でした。
サケ・マスの資源を確保するため、常呂漁協はふ化事業にも取り組んでいます。ふ化場は常呂川の下流にあったのですが、よりきれいな水のあるところを求めて、昭和54年(1979年)に常呂川の河口から80km上流にある支流へサケ・マスふ化場を移転しました。
ふ化場を移転した当初は毎秒2.5~3m3あった湧水が4年後には半減しました。稚魚の数も水量に合わせて半減させなければならなくなりました。水量が減少した原因はふ化場周辺の山林の伐採による山の保水力の低下でした。
ふ化場周辺の山林の伐採により湧水の減少に危機感を感じた常呂漁協は、昭和63年(1988年)にこの放置されていた山を購入し、シラカバ54,000本を植えました。シラカバは木材としての価値はほとんどありません。しかし針葉樹と違い広葉樹です。落ち葉が積もり豊かな水を蓄えてくれます。
|
|
シラカバは木材としての経済的価値はありませんが、落ち葉が腐葉土となり水を蓄えるため、植林には欠かせない木です。 |
|