錦江湾では平成10年頃からCODの増加傾向がみられます。鹿児島湾ブルー計画に基づく各種対策により排出汚濁負荷量は、平成元年度の38.9t/日を最高に年々減少し、平成14年度は28.2t/日となっています。排出汚濁負荷量が減少すればCOD全体が減少してもよさそうなものですが湾内の水質は悪化傾向を示しています。理由はCODの排出を削減しても、CODが湾内で再生産されているからです。原因として窒素やリンの汚濁負荷量の増加や海水温の上昇による植物プランクトンの増殖が考えられています。窒素やリンは植物の生育にとって必要な栄養です。ところが窒素やリンが増え過ぎると植物プランクトンが増殖し過ぎ、さらにそれをエサとする動物プランクトンが増殖します。大量に発生したプランクトンは水中の酸素を大量に消費し、さらにプランクトンの死骸が分解する過程で酸素が消費されます。こうして水質が悪化していくのです。
平成4年度と平成14年度における錦江湾での窒素とリンの汚濁負荷量を見ると窒素は18.8t/日から20.7t/日へ、リンは3.26t/日から4.02t/日へと増加しています。
海域別で排出汚濁負荷量を見るとCODと窒素は湾奥部での割合が高くなっています。リンの割合が高いのは湾央部の大隅半島側と湾奥部です。発生源別排出汚濁負荷量では水産系、畜産系、生活系が上位を占めています。 |