水の話
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清らかな水の生まれる里
透き通った水がこんこんと湧き出ています。シダのような形をしたコケの間を小さな魚が泳いでいます。こうした湧水が南阿蘇村の至る所で見られます。これらの湧水は地域の人たちにとって大切な水として昔から使われ、いまも大切にされています。

熊本は日本有数の多雨地域
 熊本県の年間降水量は全国平均よりも多い2,000mm以上です。その中でも阿蘇一帯の年間降水量は3,000mm以上に達し、日本でも有数の多雨地域となっています。ところが阿蘇五岳の谷の多くは、水の流れがほとんど見られません。降った雨がすぐに地中へとしみ込んでしまうためです。
阿蘇の周辺には大量の火山性堆積物が堆積しています。火山の堆積物は軽石に見られるように、一般には多孔質で割れ目も多く、水を浸透させやすい特徴があります。そのため、南郷谷に源を発し、有明海へと注ぐ一級河川の白川は降った雨の50%以上が地下へ浸透し地下水になるといわれています。
雨がたくさん降ってもすぐに地中へ浸透すれば、水不足となってしまいそうな気がします。ところが地下に浸透した水は豊富な湧水となって人々の暮らしを潤しています。
湧水となるためには地表に降った雨が浸透しやすいだけではなく、地下に水を通しにくい粘土や亀裂の少ない溶岩などから成る不透水層がなければなりません。さらにその水が清らかでおいしい水となるためには、雨水が浸透する間に十分ろ過され、適度なミネラル分が溶け込むことが必要です。阿蘇周辺はこうした条件が揃っています。


湧水
阿蘇周辺地域には少なくとも1,500カ所の湧水があるといわれています。ちょっとした崖のようなところからも湧き出ている水を見かけます。

白川水源
南阿蘇村を流れる一級河川の白川の水源にもなっている白川水源。透き通った池の底からは砂とともに水が吹き上がっています。池の中にはミズシダゴケが揺らぎ、湧水地にすむアブラメ(タカハヤ)が泳いでいます。


清らかな水は温泉とともに阿蘇の恵み
 熊本県の県庁所在地である熊本市の人口は約68万人です。その上水道は全て地下水です。このことからも、阿蘇周辺の地下水がいかに豊富であるのかが分かります。その水源域の一つとなっているのが南阿蘇村です。
阿蘇のカルデラ内には多くの湧水が存在します。その一方でたくさんの温泉も存在します。温泉は地下に溜った水がマグマの熱によって温められ、地上へ噴出したものです。そのため源泉の近くではいわゆる卵の腐ったような独特の匂いがします。源泉から流れ出す沢の水はかなりの高温です。噴気口の周囲は硫黄によって、黄色くなっています。
一方の湧水は地下へ浸透した雨水が不透水層によって遮(さえぎ)られ、土地の低い方へと流れて自然に湧き出した水で、マグマによる影響がないため、匂いも色もありません。しかも年間を通して約14℃と一定の水温を保っています。火山がある地域では温泉と同時に湧水の豊富な場所がたくさんあります。隙間や割れ目の多い火山性堆積物で地表が覆われているため、水が浸透しやすいからです。特に阿蘇は広大な草原があるため、降った雨は地下へ浸透しやすいのです。透き通った清らかな湧水と温泉では全く正反対の水ですが、どちらも阿蘇という火山によって生み出されているのです。

地獄温泉 源泉沿いの沢
阿蘇五岳の麓に古くからある温泉の一つ地獄温泉。山の中の源泉に近づくと硫黄の匂いが鼻をつきます。源泉沿いの沢の水は熱く、石などで川の水をせき止めたならば、そのまま露天風呂ができそうです。


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