岩場などにゴツゴツと石のようにくっついているカキを素手で取ろうとしても、簡単には剥がすことができません。それでもカキは人の目に触れやすい場所にいるということもあり、古くから食用にされてきたばかりか、養殖も行なわれてきました。カキの養殖はヨーロッパでは紀元前から始まり、5世紀頃にはナポリで盛んに行なわれたといわれています。
日本でも、江戸時代の初期に広島でアサリやハマグリを浅海で畜養しようと海に竹の簀(す)を立てたところ、カキが付着し、成長したことがきっかけとなりカキ養殖が始まったとされています。もっとも現在のような筏の下に吊るす養殖方法は大正時代になってから始まりました。
古くから食用にされてきたカキですが、世界中には約100種類、日本にも約20種類ものカキがいます。そのうち、食べられているのは主にマガキで、その他に夏のカキといわれるイワガキなどがいます。この他にスミノエガキ(有明海)、イタボガキ(淡路島・石川県)などが養殖されています。
イワガキはマガキに比べ倍近い大きさがあり、色も形も異なります。マガキが干潮時に水面上となるような場所にいるのに対し、イワガキは常に水深3m以深の岩礁などにいます。寿命もイワガキの方が長いといわれています。
|