水の話
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森林は大切な資源
美しい緑の山が広がっています。緑といっても一様ではありません。濃い緑と明るい緑がまだら模様を作っています。濃い緑は針葉樹、明るい緑は広葉樹です。ところが森の中は遠くから眺めるような美しい光景だけではないようです。

日本は世界有数の森林国

 日本の面積のうち約66%が森林で占められています。森林面積のうち約5割が天然林で、約4割が人工林、残りの1割が竹林や木の生えている割合が低い無立木地(むりゅうぼくち)です。国土の面積に占める森林の割合を森林率といいますが世界の森林率の平均は約30%です。森林率が66%の日本は世界でも有数の森林保有国です。
日本の森林率は40年前と比べてほとんど変化していません。ところが人工林の割合は30%も増加しています。人工林と呼ばれる森の木は大半がスギ、ヒノキ、カラマツ、クロマツ、アカマツといった針葉樹です。このうちスギ、ヒノキの多くは第二次世界大戦以降に植えられたものです。
戦争によって日本の国土は荒廃し、多くの人が空襲などによって家を失いました。そこで生長が比較的速く、建築用材に利用しやすい針葉樹が植えられたのです。針葉樹を植えるために、多くの天然林が伐採されました。
天然林の多くはブナやカエデ、シイ、カシなど葉っぱの広い広葉樹です。針葉樹や広葉樹にはそれぞれの特徴があり、どちらが優れているのかは一概にはいえませんが、単一の樹種だけの森よりも多様な樹種の森の方がさまざまな点で優れているということで、最近は針葉樹だけで作られていた人工林を広葉樹も混ざった針広混交林に転換する地域が増えています。



針葉樹と広葉樹
針葉樹だけの人工林よりも広葉樹をはじめとした針広混交林の方が生物の多様性にとっても大切です。


木や森林の役割

 建築用材をはじめ土木や家具、玩具、梱包用材、あるいは紙の原料として木は人々の暮らしの中でさまざまに使われてきました。公園のベンチや池に浮かぶボートなどもかつてはほとんどが木製でした。さらに薪炭などの燃料用としても使われていました。
木は鉱物資源とは異なり、伐採をした分を植樹すれば資源として枯渇することのない再生産が可能な資源です。鉱物資源が少なく豊富な森林資源を持つ日本では、山を上手に管理しながら木を利用してきました。
山や森が供給するのは木材資源だけではありません。人里に近い森の中に積もった落ち葉や下草は堆肥の材料として、田畑の肥料になりました。タラの芽などの山菜や木の実、キノコといった食糧も提供してくれました。こうした柴刈りや下草の採取は結果的に山を定期的に手入れするのと同じ効果を生み出していました。
人が簡単に足を踏み入れることができないような山奥であっても、水を蓄え、下流の地域に供給する大事な役割を持っています。地面に積もった落ち葉は腐植土となり、スポンジのように水を吸い込んで蓄え、ゆっくりと地中へ浸透させます。そして地中へ浸透する間にろ過されると同時にミネラルをはじめとしたさまざまな養分を溶かし込み、川や湖沼、海でプランクトンを育てます。プランクトンは魚介類のエサとなり、海に恵みをもたらします。
もしも山に木が生えていなければ、降った雨は山肌を削り谷へと流れ込み、下流域で洪水を引き起こします。山林はこうした木材資源の供給、洪水防止、水源涵養、水質浄化などの重要な機能を持っています。また、森林は二酸化炭素も吸収します。



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