森林はそのままの状態で放置しておくと植生が変化していきます。落雷などの森林火災によって裸地となった場所は、最初にススキなどが生えてきます。やがて風や動物によって種子が運ばれ、日の光をより多く好む木が生えて陽樹林になります。陽樹によってできた日陰には日の光が少なくても育つ陰樹が芽生えます。陰樹が生長すると陽樹は生育しにくくなり数を減らしていきます。こうした植生の変化を植生遷移といい、最終的には極相林と呼ばれる一定の植生の森になります。ところが人が利用するため木を伐採したり下草を刈り取るなどによって植生遷移が途中で中断されると、その状態が保たれます。雑木林や里山と呼ばれる森林はこのような人の手によって植生遷移の途中の状態が保たれてきた林です。
人工林も手入れが必要です。人工林として木を育てる場合、最初はたくさんの苗木を植えて、木が生長するに従い間伐を繰り返します。間伐された木も、かつてはさまざまな用途に使われていました。ところが安い木材が海外から輸入されるようになって国内の木材需要が減少すると、それまでの林業経営が成り立たなくなりました。間伐や下草刈りなどが行なわれなくなった山は荒廃していきます。 |