普段は細い水の流れであったとしても、大雨によって一挙に水かさが増えて危険な状態になる川があります。特に都市部の背後に山が迫っているような地形では、山に降った雨が鉄砲水となって街の中を流れ下ることがあります。開発によって土中に染み込むことのできなくなった雨水が地表を流れ、沢伝いに河川へ集中するためで、新たな都市災害として問題になっています。
河床を掘り下げ、堤防の嵩上(かさあ)げをするなどしなければ洪水の危険性が出てきますが、それではますます放水路としての役割だけになってしまいます。川を単純に昔のような自然の姿に戻すことはできません。大水が出ないようにするには川の改修だけではなく、山と一体となった再生が重要となっています。
埼玉県は川の再生に県を上げて取り組んでいます。しかも川だけでなく、緑も一緒に再生しようと数々の取り組みを行なっています。
埼玉県の面積のうち河川が占める割合は3.9%を占めています。この割合は日本一です。埼玉県は、県内の川のポテンシャルを活かし、県民誰もが川に愛着を持ちふるさとを実感できる「川の国 埼玉」を目指しています。ところがこの30年間に約6,500haもの緑が急速に失われました。これは東京の山手線の内側に匹敵する広さです。緑が失われた一番の原因は山の荒廃です。本来であれば間伐などの手入れが必要な人工林が放置されてしまったからです。同じような状況が日本中で起きています。
山が荒れるということは水源地の荒廃につながります。埼玉県内には利根川、荒川とその支流が流れています。関東平野が作られたのはこれらの川によるものです。そして日本で最も川幅の広いのは鴻巣市と吉見町の境を流れる荒川で2,537mもあります。
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