埼玉県熊谷市の中心部を1本の細い川が流れています。江戸時代の初期に荒川の氾濫によってできたもので、玉ノ池(現・星渓園)から湧き出る水を水源にしている星川です。昔から農業用水として利用されていましたが、以前は染物を洗ったり、子どもたちの水遊びの場となっていました。昭和50年(1975)から広場を作り、彫刻像を設け「水と緑と彫刻のプロムナード」として整備が進められ、今では熊谷市のシンボルとなっています。星川を中心にしてさまざまなイベントも開催され、市民にとってコミュニケーションの場にもなっています。
川を中心にして地域のコミュニケーションが活発になり、活性化が図られることも、新しい川と人との関わり方であり、こうした川も里川の一つと言えるでしょう。
上水道が未整備の時代には炊事や洗濯などの水を確保するため井戸が重要な役割を果たしていました。井戸に集まった主婦たちは雑談に花を咲かせ、お互いのコミュニケーションを図りました。これを井戸端会議といっていましたが、これからは川が井戸の代わりとなり、川端会議という言葉が生まれてくるかもしれません。人と自然が切り離されてしまった都市部にこそ、こうした里川が必要なのかもしれません。
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