水の話
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植物の生長に必要なさまざまな元素

植物の生育に特に必要な窒素、リン酸、カリウム

 植物は光合成によってでんぷんをつくり出しています。この時に必要なものは二酸化炭素と水と光です。日中、水槽の中の水草が盛んに気泡を出しているのを見ることができますが、この気泡は酸素です。でんぷんを合成するときに二酸化炭素から炭素を取り出し、切り離された酸素が放出されているのです。
陸上の植物は水中の植物のように気泡を見ることはできませんが、すべて光合成をおこなっています。ただ、植物の体はでんぷんだけでつくられているわけではなく、さまざまな元素を必要とします。植物が必要とする元素は基本的に土の中に含まれ、それらを植物の必須元素と呼んでいます。必須元素の中でも特に窒素、リン酸、カリウムを肥料の3要素と呼んでいます。




大気と地中を循環する窒素

 有機化合物であるタンパク質の構成要素の窒素は、植物の本体ともいえる茎や葉の生長に係り、不足すると、茎が太くならず、葉の緑もあまり濃くなりません。植物が吸収する土壌の窒素は、もともとは動植物の体を構成している有機化合物です。
自然界の中で有機化合物を無機化合物に分解する働きを担っているのがバクテリアです。枯れたり死んだりした動植物の体はバクテリアのえさとなり、水、二酸化炭素、窒素化合物などの無機化合物になります。ただし、これらの有機化合物が全てバクテリアの生命活動に使われるわけではありません。例えば余った窒素は無機化合物のアンモニア態窒素として排出されます。
アンモニア態窒素はさらに硝化菌によって亜硝酸態窒素、そして硝酸態窒素へと変化し、植物が根から吸収します。さらに土壌に残った硝酸態窒素は嫌気性のバクテリアの働きで窒素ガスとして大気へと放出されます。
大気のうち約80%は気体の窒素で占められています。植物は気体のままの窒素を栄養として取り込むことはできませんが、微生物の中には窒素ガスを窒素化合物に変えて生物が利用できるような働きをするものがあります。
春、耕される前の水田をピンクの絨毯を敷き詰めたように広がるレンゲの花は、もともとは肥料とするために植えられたものです。レンゲのようなマメ科の植物の根には根粒菌が共生し、空中の窒素を固定します。そこで耕す前にそのままレンゲを鋤き込むことで窒素肥料にできるのです。このように窒素は大気、有機物、土壌の中を常に循環しています。


レンゲ
植物の生育に欠かせない窒素は大気の約80%を占めていますが、植物は養分として吸収できません。そこでレンゲの根に共生する根粒菌を利用して肥料にします。


さまざまな化学薬品原料になるリン

 肥料の3要素の一つであるリン酸を、単にリンということがあります。しかし厳密にはリンとリン酸は同じではありません。リンはPという元素記号で表される元素であり、リンの化合物がリン酸です。
リンはリン鉱石として採掘されますが、マグマの活動によってつくられるものもあれば、動物の死体が海底に堆積したもの、あるいは海鳥の糞や卵の殻などが堆積し化石化してできたものなどがあります。
動物にとってリンは骨や歯の構成要素であるリン酸カルシウムや筋肉活動のエネルギー源になっています。かつて、お墓などで見かけたとされる人魂(ひとだま)(火の玉)の正体は、リンだとされたことがあります。昔は火葬せずに土葬していたため、人体から分離したリンが自然発光したのではないかというのです。
リンは植物にとっても重要な成分で、特に開花や結実を促進させるためには必要で、不足すると花がつきにくくなります。リンを肥料とする場合はリン鉱石からつくられたものを使用するほか、家畜の骨粉をそのまま使用する場合があります。
肥料の他にも、リン酸およびリン酸化合物は殺虫剤、燃料の不凍液、調味料やふくらし粉の添加剤、繊維製品の難燃加工などさまざまなところで広く使われています。日本ではリン鉱石がほとんど産出されないため、リンは全量が輸入されています。


食事
窒素とともに肥料の3要素として使われるリンやカリウムはどんな食物にも含まれています。


リン鉱石
化学物質や肥料として使われるリンの原料であるリン鉱石は日本では産出されないため輸入に頼っています。しかし、最近はリン鉱石の産出が減り、将来的には枯渇も心配されています。



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