水の話
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絶滅から復活へ
大きな鳥が長い嘴を水の中に入れ、餌を探しています。遠くから眺めるとツルのようにも見えます。かつてコウノトリは日本中の田園で見ることができました。ところが日本で繁殖していたコウノトリは昭和61年(1986年)に絶滅しました。その後、ロシアから贈られたコウノトリの人工繁殖に成功し、現在は野生化が進められています。

留鳥(りゅうちょう)と渡り鳥

 日本では、これまでに約600種類の野鳥が確認されています。ただし、留鳥と呼ばれている年間を通して同じ場所で生息する鳥もいれば、季節によって北の国や南の国から移動してくる鳥もいます。季節によって移動する鳥は渡り鳥と呼ばれています。
渡り鳥のうち夏鳥と呼ばれるものはツバメのように繁殖のために日本へ渡り、冬は南の国で過ごします。冬鳥はマナヅルやオオハクチョウのように日本より北の国で繁殖し、日本で越冬します。また、チドリのように、北の国で繁殖し、南の国で越冬する途中で日本を通過する旅鳥と呼ばれる渡り鳥もいます。
この他に迷鳥(めいちょう)と呼ばれる鳥がいます。天候の悪化やケガや病気などによって群れからはぐれ、本来の生息地ではない場所に迷い込んでしまった渡り鳥です。また、留鳥の中にも夏は山地や涼しい北の地域で過ごし、冬は平地や暖かな南の地域で過ごす漂鳥(ひょうちょう)がいます。
鳥は自由に大空を行き来するため植物や陸生の動物とは異なり、ある地域で見つかったからといって、必ずしも常にその地域で生育しているわけではありません。そして日本にいる鳥のうち種類がもっとも多いのは渡り鳥です。



姿を消した日本のコウノトリ

 今、世界中の動植物の多くが絶滅の危機に瀕しています。鳥類も例外ではありません。すでに野生、飼育とも絶滅したと考えられるものは絶滅、飼育のみで存続しているものを野生絶滅、野生や飼育に係らず絶滅の危険があるものを絶滅危惧種と呼んでいます。
日本で一度、野生絶滅した鳥としてよく知られているのはトキです。そして絶滅危惧種の中でも、近い将来に絶滅の危険性が極めて高い鳥としてコウノトリがいます。ただしかつて日本中の空を飛び回っていたコウノトリも、一度、野生絶滅をしています。
コウノトリは渡り鳥でロシアと中国の国境近くを流れるアムール川中流域で繁殖し、中国の揚子江中流域や韓国、台湾などで越冬しています。そして日本にも多くのコウノトリが渡ってきましたが、やがて日本に留まり繁殖する個体が増えました。明治時代になるまでは北海道を除いた全国各地で生息していました。本来は渡り鳥ですが、日本のコウノトリは留鳥のようになっていました。
そして明治以降、日本のコウノトリは急速に数を減らしていきました。コウノトリを復活させるため、さまざまな努力を行ったにもかかわらず、昭和46年(1971年)には日本の空から野生のコウノトリはついに姿を消してしまいました。


コウノトリ
コウノトリの長い脚と長い嘴は、田んぼや湿地の泥の中にいるドジョウなどを捕まえるのに適しています。右端にいるのはアオサギです。


ツルに似た姿

 コウノトリは日本の野鳥の中では最大級ともいえる大きさです。全長は約1m、羽を広げた長さは約2m、体重は4kg以上にも達します。
遠目から見る姿はタンチョウヅルに似ていますが、嘴が黒く、脚が赤い色をしています。また目の周りも赤いなど、よく見るとタンチョウヅルとの違いがはっきりと分かります。
分類上はサギやトキと同じ仲間です。ヨーロッパでは、コウノトリが赤ん坊を嘴でくわえて運んでくるという言い伝えがありますが、正確にはシュバシコウという鳥で、日本のコウノトリより一回り小さく、嘴も赤いのが特徴です。
コウノトリは肉食性で淡水魚、イナゴやバッタなどの昆虫、カエルやオタマジャクシといった両生類、ヘビなどのは虫類、ザリガニなどの甲殻類などを餌としています。特に好物としているのがドジョウです。またかなり大きなナマズなども丸呑みします。
アカマツの大木などの上にワラや木の枝を使い直径2m程の巣をつくりヒナを育てます。適した木がない場合は電柱のてっぺんなども利用します。寿命はかなり長く、飼育下では30年以上を記録しています。


立ち姿 立っているときや飛んでいるときのコウノトリの姿はツルとよく似ています。

飛ぶ姿



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