コウノトリが日本の空から消えた大きな理由の一つが、明治時代の乱獲でした。コウノトリは田んぼの稲を踏み荒らす害鳥と思われていました。しかし、本当に稲作被害があったのかどうか、十分に分かっていたわけではありませんでした。そのためコウノトリを飼育場の外へ放つと、稲に害がでるのではないかと心配する声もありました。
野生のコウノトリが平成14年(2002年)8月5日に豊岡市へ舞い降りました。中国大陸から飛んできたコウノトリで、日本への飛来は実に31年ぶりのことでした。飛来した日にちなみ、ハチゴロウと命名されました。以来、約5年間に渡りハチゴロウは豊岡に留まりました。この間の調査で野生のコウノトリが田んぼを踏み荒らすことはほとんどないことが分かりました。
ハチゴロウが舞い降りた場所は、現在、戸島湿地と言われる場所です。ここはかつてジル田と呼ばれる湿田だったところです。海抜はわずか25cmです。こうした場所は地域によっては深田、泥田などとも呼ばれています。名称からも分かるように、水はけが悪く、いつも水に浸かっているような田んぼです。
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