水のお値段

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水を汚せば、やがて水道料金にはね返ってくる

高度な処理が必要となるアオコの除去

 カビ臭で特に問題になるのがアオコです。漢字で青粉と表記するように、青緑色をした粉のような細かな藍藻類です。アオコが発生すると水面が青緑色のペンキを塗ったようになり、周辺にカビ臭が漂います。アオコといっても、日本には55種があり、中には毒をつくるものがあります。しかも同じ種類のアオコであっても、毒のある場合とない場合があるようです。
 海外ではアオコの繁殖した水飲み場の水を飲んだ家畜が死亡したという例があります。アオコの毒は人に対しても有害ですが、アオコを大量に口にするような人はまずいません。
 アオコなどの植物プランクトンそのものは浄水場の通常の濾過施設で取り除くことが可能です。しかし濾過だけではカビ臭の原因となるジオスミンや2-メチル・イソ・ボルネオール、あるいはアオコの毒を除去することができません。そこでオゾン処理や活性炭などを使った高度処理によってカビ臭や有害物質を除去しています。そのためアオコの毒が水道水に混入することはほとんどありません。
 アオコが発生する条件として、湖沼の富栄養化と同時に、水温も関係しています。地球温暖化の影響で、湖沼の水温が上昇傾向にあります。そのため、従来はアオコがほとんど見られなかった湖沼でも発生が見られるようになっています。しかも、発生期間が長期化する傾向にあるようです。富栄養化対策としては生活排水に含まれる有機物はもちろん、窒素、リンの除去がますます大切になっています。

湖沼の水が水道の水源として使われるとき、しばしばカビ臭が問題となりますが、その原因の多くはアオコの大量発生によるものです。

水道料金の決め方

 買い物をする時、普通はいくつかの商品の中から価格や品質などを比べ、気に入ったものを購入します。しかし上水道の場合はそうはいきません。水源地を汚せば、水質を悪化させる原因につながりかねません。水道料金を安く抑えようと思えば、水の使用量を減らすしかありません。
 水道料金は水道事業者によって異なりますが、料金体系は全国ほぼ同じで、基本料金と実際に使用した料金から成り立っています。基本料金は水の使用量に関係なくかかる一定の金額で、家庭用とか業務用といった水道の使用目的やメーターにつながる水道管の口径によって設定されています。
 名古屋市の場合、一般家庭用メーターの多くは口径13~25mmで、2カ月で12m³までの使用量が基本料金となります。そして12m³以上の水を使用した場合、使用量に応じて料金は高くなっていき、1m³当たり10.5円から332.85円までかなりの幅があります。例えば口径13mmの一般住宅が2カ月で40m³の水を使用した時の水道料金は4,630円ですが、10倍の400m³の水を使用した時は、11万1,961円と1m³当たりの料金は約2.4倍になります。それでも100円前後で売られている2入りペットボトルの水に換算した値段と比較すると、40m³の水を使用した場合は0.2315円、400m³の場合でも0.559円にしかなりません。
 東京都の場合は口径が13~25mmで、1カ月の使用量が5m³までは基本料金となり、それを超えると1m³当たりの料金は22円から404円となっています。口径13mmの一般住宅が2カ月で40m³の水を使用した時の水道料金は4,725円です。
 このように、使用目的、使われている口径などによって算定となる基準がそれぞれ異なるため、単純に1m³当たりの金額で比較することはできませんが、地域によって7~10倍の差があるとされています。

道路に埋設された水道管と家屋との間に設置されているメーター。口径の太さによって水道の基本料金がかわってきます。

浄水場の濾過池には急速濾過と緩速濾過があります。ただ緩速濾過は広大な面積を必要とするため、最近は急速濾過が一般的になっています。(写真は名古屋市上下水道局春日井浄水場の急速濾過池)

地域によって水道料金に差が出る理由

 水は日本中ほとんどどこにでもあります。ところが地域によって水道料金に大きな開きがあります。水道事業をおこなうのは原則として市町村です。そして水道事業の運営にかかる費用は利用者から徴収する水道料金でまかなう独立採算制がとられています。
 水道事業をおこなうには水源から水を引き、浄水場で安全な水にします。各家庭などへ配水するためには、水道管を敷設しなければなりません。浄水場や水道管の維持管理もしなければなりません。特に人口密度が低い地域では1戸あたりの水道管の距離が長くなってきます。こうした費用を水道料金でまかなうことにな高くなってしまいます。
 しかし人口が多く、しかも密集している都会であれば必ずしも水道料金が安くなるという訳ではありません。逆に、人口が少ない自治体であっても、水道料金がそれほど高額ではないところもあるようです。ります。設備投資にかかる費用が同じであれば、人口の少ない地域の方がどうしても料金が高くなってしまいます。

開発された住宅団地に新たに水道を引く場合、基本的には戸数に関係なく、埋設する水道管の距離は同じになるはずです。戸数が少ない場合、水道建設のための一戸当たりにかかる投資費用は高くなってきます。

地下水を水源としている水道水源は、意外にも街の中にある場合があります。

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