水のお値段

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水を汚せば、やがて水道料金にはね返ってくる

水の原価

 水道料金を設定するための条件には浄水場や水道管などの設備建設費や維持管理費の他に、水そのものの値段があります。河川、地下水などはもともと雨が地上に降った水で、水そのものに特定の所有者はいません。ところが河川には水利権が設定されているため、誰もが必要な時に、必要なだけ使うことはできません。水利権とは河川の流水を継続的に利用できる権利のことです。
 河川は、水力発電、灌漑、水道、工業用、養魚、雨水や生活排水の放流先などさまざまな形で使われています。
 もしも誰かが勝手に河川の利用を独占してしまうと、他の用途に利用できなくなりかねません。そこで河川法では河川の流水を利用するものは河川管理者である国土交通大臣、または都道府県知事の許可を受けなければならないとしています。つまり、河川の水は公共のものであり、特定の個人や団体のものではないのです。
 水道事業者が河川を水源として水を供給する場合は、水利権を得なければなりません。ただし、水利権を得たからといって必要なだけ自由に水を使用することはできません。一方、地下水は土地所有者の私有財産として見なされることが多く、水道事業者が所有する土地から汲み上げた水は自由に使用することができます。
 水利権を得た河川からの水や地下水は水道事業者にとっては自己水源となります。ところが、自己水源が少ない地域では、水道事業者は県や地方自治体がいくつか集まってつくられた特別地方公共団体としての広域水道企業団が取水し、浄化した水を購入することになります。これを受水費と呼び、水道水の原価に含まれることになります。
 すべて自己水源だけで水道水をまかなう場合と、受水費を払って水を購入する場合では、水道料金に開きが出てしまいます。しかも、水道料金の中に占める受水費の割合が年々高まり、水道事業全体の中で受水費が占める割合は昭和40年(1965年)度には4.6%であったのが、平成19年(2007年)度には12.9%となっています。事業者によっては受水費の割合が70%近いところもあるようです。こうしたことも地域によって水道料金に開きの出る理由の一つになっています。

豊かに水をたたえる川であっても、好きなだけ水道の水として使えるわけではありません。

水を汚せば水道料金も高くなる

 水道水の原価には、このようにさまざまな要素が関係してきます。例えば浄水にかかる費用もその一つです。地下水だけで自己水源をまかなえるところであれば、原水の沈殿、濾過、消毒などをおこなう必要はそれほどありません。
 一方、水質がよくない原水の場合は、高度な浄水設備を備えなければならなくなり、設備の建設費や維持管理費などが必要となってきます。水道事業は独立採算制のため、新たな投資はいずれ利用者が負担せざるを得なくなってきます。水を汚せば、結局は水道代となって生活の中に戻ってきてしまうのです。

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