上総掘りの特徴は、身近にある丸太や竹といった素材を使い、人の力だけで簡単に深い井戸が掘れることです。先端にノミのついた鉄管を地中に向かって人力で上下させ、穴が深くなるに従いタケヒゴを継ぎ足していくのです。これだけのことで何百メートルも掘ることができるのです。ときには硬い石に行き当たることもありますが、その場合は先端のノミを替えて石を砕きます。そして水のあるところまで掘り進んだら、竹の節を抜いた樋をつないで穴の中に挿入します。壁が崩れて穴が埋らないようにするのと同時に、途中の層から悪水が入り込まないようにするためです。そしてきれいな水を入れ、中に溜まっている粘土水をブリキで作られた筒状の吸口を使って汲みあげます。やがて地下の水は地中の圧力で自噴するか地表近くまで上がってきます。 |
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上総掘りの足場
ノミを付けた鉄管は竹を使った「はね木」(右上の横棒の部分)とひもで結ばれ、はね木はバネとして上下運動を助けます。鉄管を引き上げるときは竹ヒゴをヒゴ車(中央)に結び、この中に人が入って巻上げます。そして掘った穴が崩れないよう、水で溶いた粘土を常に穴の中に注ぎこみます。(袖ケ浦市郷土博物館) |
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