河川は多くの支流を集めて本流となり、海へと流れ下ります。日本には一級河川に指定されている河川が13,000本以上ありますが、それらの川は109の水系にまとめられます。
長野県の南部に源を発し、岐阜県を経て愛知県のほぼ中央を流れ三河湾へと注ぐ矢作川(やはぎがわ)は本流の延長約118km、流域面積約1,830km2の一級河川です。全国的な知名度はそれほど高い川とはいえませんが、中流域のほとりには徳川家康が生誕した岡崎城があります。城の近くに矢作橋が架かっています。戦国時代、少年であった豊臣秀吉が橋の上で寝ていたところを蜂須賀小六(後の阿波=徳島県=藩祖)に蹴飛ばされ、それが縁で小六の家来になり、出世への足がかりを掴んだというエピソードがありますが、その当時の矢作川に橋は架けられていませんでした。つまり、このお話は後世になってからの作り話です。
矢作橋のある辺りには、かつて矢を作る人たちの集落がありました。矢羽根を付けることを矧(は)ぐといい、そこから矢矧(やはぐ)となり、矢作(やはぎ)に転化したといわれています。
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