どんな川にも源流地点があり、普通は1カ所に決められています。もちろん川にはいくつもの支流があり、全ての支流にも源流地点がありますが、一般には、本流の源流地点を指しています。
川を遡っていくと、いくつもの支流が流れ込んできます。そのうちのどれを本流とするのかといった明確な定義は、必ずしもあるわけではないようです。一般的に本流とされる流れは河口部分から源流地点まで同一の河川名が付けられています。それらの川の多くは一番長い流路となっています。
矢作川を河口から辿っていくと、上流域で何本もの川に分かれています。地図上でたどっていくと、いつしか矢作川の名前は消えて、別の名前が使われています。どの川を矢作川の本流にするのかで源流地点も違ってくるはずです。それらの川のうちの1本を辿ると、長野県下伊那郡の平谷村と阿智村(旧浪合村)との境に聳える標高1,908mの大川入山の西側へ至ります。一方の川を遡ると長野県下伊那郡の根羽村と愛知県北設楽郡(きたしだら)豊根村との境にある標高1,415mの茶臼山へと至ります。どちらの川も矢作川の源流地点だとされています。
大川入山から流れ出る川は河口からの距離が最も長いことを本流であることの根拠にしています。また、旧河川法で矢作川の源流地と明記され、そのまま源流地点だとしている川もあります。矢作川には数多くの中小の支流があり、流域面積の約90%が山間部です。それらの山々からの水を集めていることを考えたならば、源流地点はともかく、全ての支流が源流部だといえるでしょう。矢作川の源流地域は年間降水量が多いという特徴があります。そして豊かな森が広がっています。森に降った雨や雪は多くの支流によって矢作川の豊かな流れを育むのです。
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