水の話
 
ルーツは二千年以上前の中国

200種以上もの豆腐料理
 豆腐百珍、豆腐百珍続編などで紹介されている豆腐料理は、合計約240種にものぼります。豆腐が、いかに人々の間で人気の食材であったかが、わかります。もっとも、豆腐料理とはいっても、「高野豆腐」「油揚」「飛龍頭(がんもどき)」といった、いまでいう豆腐の加工食品といったものも、紹介されています。豆腐百珍で面白いのは、尋常品、通品、佳品、奇品、妙品、絶品という6ランクに分けて紹介していることです。尋常品は、どこの家でも通常に扱い料理するもの、通品は料理法に特別な難しいところがなく、佳品は風味がややすぐれ形がやや手ぎれいなもの、そして、絶品は珍奇や模様に関係なく豆腐の真味を知る絶妙の調味で豆腐の好きな人は味わうべしとしています。

料理提供:吉本
湯豆腐
豆腐百珍には湯豆腐としての紹介はありませんが、湯やっことして載っています。やっことは江戸時代の槍持奴などに共通する衣装の紋からきています。豆腐百珍の湯やっこは煮立てた葛湯へ入れ、浮き上がろうとするところを、すくって食べるとしています。


 尋常品として一番最初に紹介されているのは、木の芽田楽です。奇品は名前も見ためも「奇」なもので、たとえば蜆もどきのように、しぐれ煮のようにしたものや、鮎の姿に似せた香魚もどきといったものが、紹介されています。そして、絶品として7品が取り上げられていますが、そのうちの一つが「湯やっこ」つまり湯豆腐です。最後の100番めは「真のうどん豆腐」です。いかめしい名称ですが、ようするに豆腐をうどんのように細く切って湯豆腐にしたものです。ただし、薬味としておろし大根、唐辛子の粉、葱のみじん切、陳皮(乾燥させたみかんの皮)、海苔などを、用意しています。
日本人にとって、豆腐の一番おいしい食べ方というのは、素材そのものがもっている味を、いかにして引き出すのかということにあるようです。
高野豆腐
凍豆腐ともいわれるように、冬の晴天の夜、氷点下の屋外で豆腐を凍らせ、水分を飛ばして作ります。冷蔵庫の氷室でも同じ様なものはできますが、高野豆腐にする豆腐はもともと豆乳濃度を濃くして作られています。

田楽
田楽の名の起こりはいろいろな説があります。豆腐に串を刺した形が、田楽法師の鷺足の曲といわれる形に似ているからとか、四天王寺の楽人がこの料理を出したとき、つい秘伝の笛を許してしまい伝楽と名付けたのが始まりともいわれています。豆腐百珍では一番最初に紹介されています。また、田楽の中でも木の芽田楽が有名ですが、この場合の木の芽とは普通は山椒(さんしょう)を指しています。
がんもどき
関東では雁擬(がんもどき)、関西では飛龍頭(ひりょうず)と呼ばれているようです。刻んだ野菜などの具を、豆腐を崩して水けをきったもので包んで揚げます。
変わり豆腐
左が豆腐の佃煮、その右が沖縄のとうふよう、下が岩手県の六浄(条)豆腐。一般に豆腐は腐りやすく、日もちしにくいとされています。しかし、栄養が豊富なため様々な方法で水分を抜いて、長期間の保存にも耐えられるものが考えられています。また、沖縄のとうふようは、豆腐を発酵させたもので、このような豆腐は中国にはありますが、日本では沖縄以外ではみられません。


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