水の話
 
おいしい豆腐と水

豆腐といえば、白くて四角く、柔らかいものと相場が決まっています。豆腐の作り方も、それほど難しいとは思えませんが、なぜか昔から専業の人によって作られてきました。一方、同じ大豆を原料とした味噌は「手前味噌」という言葉があるように、昔はそれぞれの家で作られる事が多かったようです。理由として豆腐は保存がきかないということも考えられます。いちいち家で作るより、その都度、新鮮な豆腐を買ったほうがおいしく食べられるからではないのでしょうか。

豆腐の作り方
 豆腐作りをごく簡単に説明すれば、大豆のエキスを絞りだし、それを固めたものということです。まず、原料となる大豆を水に漬け大豆の重さの2.2~2.3倍になるまで吸収させます。これを細かく砕いてできた白いドロっとしたものを「呉」といいます。呉の中には水に溶けだした大豆たんぱく質が、たっぷりと含まれています。これを加熱し、このときにできた泡を取り除き袋に入れ「豆乳」と「おから」に分離します。おからは、豆乳を絞った後の残りかすではありません。絞り切れてない豆乳をはじめ食物繊維や脂質、ビタミンなどが豊富に含まれています。
豆乳がまだ熱いうちに凝固剤を入れると、少しずつ固まりはじめます。これを「よせ豆腐」「おぼろ豆腐」などとよんでいます。このとき、固まりかけた豆腐と、黄色みを帯びた「ゆ」という液が分離します。「ゆ」を取り除き「おぼろ豆腐」を型にいれて固めれば、豆腐ができあがります。

にがり
にがり
豆腐の凝固剤のことを、一般に「にがり」といっています。しかし、にがりは天然の塩からとれる塩化マグネシウムを主成分とした凝固剤のことで、現在では硫酸カルシウムなど他の凝固剤も使われています。天然の塩は空気中に放置しておくと水分を吸収し、やがて溶けだします。そのときにとれた液がにがりです。ところで、にがりからはマグネシウムやブロム(臭素)が取り出せますが、第2次世界大戦中、これを飛行機のエンジンや機体に使うため、にがりが軍需物資として統制されました。そこで、豆腐用のにがりに、代わるものとして硫酸カルシウムをはじめ、いろいろな凝固剤が開発されたのです。

にがり
大豆を水に浸して柔らかくしたものをすり潰して作ります。乳白色で、どろっとしています。
豆乳
豆乳
呉を濾して「おから」を取り除いたのが豆乳です。白くて牛乳の様に見えますが、栄養のほうも牛乳に劣らず豊富です。
にがり入れ
にがり
豆乳のなかに「にがり」を入れ、軽くしかも万遍なくかき回すと豆乳はすぐ、固まり始めます。簡単そうな作業に見えますが、この時の豆乳の温度、にがりの量などかなりの経験が必要で、豆腐の善し悪しはこの行程で決まるともいわれています。
おから
おから
 呉から豆乳を絞りとったあとの残りかすのようにいわれていますが、栄養的には豆腐と同じくらい優れています。しかも、料理の仕方によっては大変おいしくいただけます。
木綿豆腐と絹ごし豆腐
絹ごし豆腐
絹ごし豆腐
凝固剤を加えた豆腐は、最後に型へ入れて固めます。このとき、水抜きの穴のあいた箱に布を敷き、そこへ豆腐を流し込んで固めたのが木綿豆腐です。一方、絹ごし豆腐は凝固剤を加えそのまま箱に入れて固めたものです。水分を抜かないぶん、豆乳は濃く作られています。木綿に対し、絹のような滑らかさということから、この名が付けられたのです。
絹ごし豆腐


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