1年草というのは春から夏にかけて芽生え、秋までには花を咲かせて種子をつくり枯れてしまい、冬は種で過ごします。それに対し、地上の葉や茎は枯れても地中の根は何年も残り、毎年新しい茎を立てるのが多年草です。1年の半分以上が雪で覆われる高山に咲く植物も多くが多年草です。夏が短く、春と秋は一瞬に過ぎてしまうため、実をつける期間が限られてしまうからです。そのため、山菜は基本的に多年草だといった考え方もでてきます。たしかに野草といわれるものには1年草や越年草もたくさんありますが、多年草もかなり含まれています。
一方、山菜(食べられる野草)の生育場所には、日当りが良く、適度な水分のある土壌という、ある程度の共通性が見られます。そのため、山国に山菜が豊富なのは、雪解け水による水分の補給がいち早く行われるからだという考え方もあります。さらに、水気がないように思われる場所でも、霧や雲によって水分が補給されます。平地でも、田んぼやその背後に続く里山が、食べられる野草の宝庫となっている場合が多いようです。里山は田畑の肥料や燃料用の薪の採取場所というだけでなく、水の供給場所でもあったのです。 |
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山国では重要な副食物として利用されてきた山菜。乾燥したり塩漬にして年間を通して食べるため、東北地方では、一戸当たり300kg以上採集していたときもありました。いまでは、都市での需要がかなり増えています。 |
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