水の話
 
自然が与えてくれた豊かな恵

山菜は豊かな自然の象徴
 きれいな小川や渓流に接したとき、人は自然の美しさを感じます。でも、美しさが自然の豊かさであるとは限りません。多くの生き物たちがいて、はじめて豊かな自然があるといえるのです。たとえば、水の汚れが自然界の栄養バランスを崩し、特定の生物を繁殖させてしまうこともあるのです。

野山へ出かけたときも、たくさんの植物があれば、自然が豊かだと考えるのが普通です。しかしそこにある「自然」は本来の自然なのでしょうか。人間の手が加わることによって増える植物もたくさんあるのです。さらに、それによって、もともとそこにあった植物が、知らない間に姿を消していることもあるのです。

 単一の種で占められた自然よりも、多くの種の住める自然の方がはるかに豊かです。鳥や獣や魚たちが数や種類を減らすのと同じように、姿を消しつつある植物も多いのです。

山菜はまさに豊かな山の幸です。とくに冬の間の貴重な食料として、干物や漬物などの保存食としても大切でした。しかし、ちょっとした環境の変化が、山の幸に大きな影響を与えることもあるのです。山菜からは自然との上手な付き合い方を学ぶこともたくさんあるようです。
自然


水辺で見られる山菜
セリ ワサビ ジュンサイ
セリ
小川の縁や田んぼの畔などに生えています。主に若芽を食べます。
ワサビ
自然のワサビの根は栽培もののように大きくはなりません。
ジュンサイ
若芽を包んでいるぬめりに独特の歯ざわりがあります。


野や里でみられる野草(山菜)
フキ ヨモギ ワラビ スイバ イタドリ
フキ
数少ない日本原産の野菜で、栽培の歴史も非常に古いといわれています。
ヨモギ
生乾きの茎葉を吊り下げていぶすと蚊取り線香のような役目をします。
ワラビ
日当りのよい平地から、かなり標高のある山まで生えています。
スイバ
フランスではソレルと呼ばれ、野菜として栽培されています。
イタドリ
若い茎の表面にある紅い斑点模様から、漢字では「虎杖」と書きます。
サンショウ ツクシ アケビ タンポポ
サンショウ
若葉を「木の芽」と呼びます。木は硬く、すりこ木や杖にも使われます。
ツクシ
「土筆」とも書くスギナの胞子茎です。はかまを取り除いて煮物にします。
アケビ
若芽のつるや花をおひたしやあえものなどに使います。
タンポポ
江戸時代には救荒食物として、栽培が奨励されたこともあります。


山でみられる山菜
コシアブラ モミジガサ ツリガネニンジン(トトキ) アマドコロ コゴミ
コシアブラ
タラノメよりもおいしいといわれ、成長すると高さ数mにもなります。
モミジガサ
湿気のある林の下草として全国でみられます。てんぷらやおひたしにします。
ツリガネニンジン(トトキ)
チョウセンニンジンの根に例えてこの名が付けられました。
アマドコロ
似たものにホウチャクソウ、チゴユリがありますが、こちらは有毒です。
コゴミ
シダ類はアク抜きが必要ですが、コゴミは苦味や渋味もなくアク抜きは不要です。
ヤマウド アザミ ゼンマイ タラノメ アマナ
ヤマウド
栽培されたものと区別して山ウドとも呼びますが、どちらも同じです。
アザミ
種類が多く、生育場所も採食部位も違います。ヤマゴボウは、モリアザミの根。
ゼンマイ
銭巻(ぜにまき)がゼンマイの語源になったといわれています。
タラノメ
典型的な陽樹で日当りの良い場所に生えるため、林道脇でよく見かけます。
アマナ
大群落を作らず、数も少ないので、むやみに採取しないようにしたいものです。


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