漬物にできない山菜や野菜は、まずありません。漬物の基本は塩漬です。弥生時代の出土品の中から、海水を濃縮するために使われたらしい土器が見つかっています。塩が作られたのならば、漬物も作られていたと考えられます。では、当時はどんなものが漬物にされていたのでしょうか。おそらく、山菜や野草を使っていたのでしょう。平安時代に使われていたとされる漬物材料の中で、現在、山菜や野草といわれているものとして、ワラビ、ナズナ、アザミ、セリ、フキ、イタドリ、ホオズキ、ノビル、ギョウジャニンニク、タデなどがあります。これらの中で山菜として一般によく知られ、現在でも食べられているのはワラビ、フキくらいです。一方、四国方面ではイタドリがよく食べられているということですが、他のアザミ、タデ、ノビルなどは、ほとんど雑草としてしか扱われておりません。
ところで、漬物は乾物とともに加工食品としては、古い歴史をもつと考えられます。万葉集の時代は、海藻に海水をつけては干すということを何度も繰り返し、最後に焼いて灰と塩を取り出していました。これを藻塩と呼んでいます。あるいは、菜に海水をつけ、乾かすことを繰り返せば、簡単な漬物を作ることができます。 |
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セリ(左)とニンジン(中)とイタドリ(右)の漬物
山菜の本場といえば東北地方や信州というイメージがありますが、四国でもよく利用されて、とくにイタドリは食べられています。漬物にする場合は皮付きのまま漬け込みます。セリは栽培ものも出回っていますが、味も香りも野生のものにはかないません。いずれも昔から野菜と同じように扱われてきました。 |
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