川をきれいにしたり、池を作ったり、いろいろな植物を植えるなどして、かつてのような「自然」を取り戻そうという試みが行われています。その結果、姿を消していた鳥やトンボ、魚などの一部が大都市の中でも見られるようになりました。しかし、カエルについてはどうでしょう。都市はもちろん、田舎でもかつてほどには見られなくなっているようです。
カエルは食物連鎖の底辺にいる動物です。数が減るということは、他の動物の生存も脅かされるということです。ところが、カエルはあまりにも身近な存在であったためか、鳥や魚ほどには関心が持たれませんでした。数が減っているとはいっても、きちんと調査されている訳ではありません。黒い色をしたメダカも、かつてはもっともありふれた魚の一つでしたが、気がついた時には急激に数を減らし、絶滅が危惧されています。カエルもメダカと同じような運命をたどるかもしれないのです。カエルが姿を消している一番の原因は、環境の変化です。とくに産卵に必要な水辺の減少は影響が大きいようです。カエルの減少は世界的な傾向にあるといわれています。それも人の手が全く加えられていないような地域でも減少しているといわれています。例えば、1960年代に南米コスタリカで発見された、美しい色を持つオレンジヒキガエルは、1980年代の終わりごろから、姿を消してしまいました。紫外線の影響によって絶滅したとの説もあります。また、カエルやサンショウウオといった両生類は皮膚呼吸をしていると同時に、お腹から水分を吸収するため、酸性雨の影響を他の生物よりも受けやすいといわれています。池のオタマジャクシなどは、近年増えたブラックバスなどの外来魚の餌になりやすいことも一つの原因として考えられています。 |
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カエルをエサとする動物はたくさんいます。モズ、サギ、サシバなどの鳥やタヌキ、イタチ、コウモリ、ヘビ、ナマズ、ライギョなどです。オタマジャクシのときにも、水生昆虫のタガメ、ゲンゴロウなどに食べられます。 |
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