カエルの顔をよくみると愛くるしい目をもち、何ともいえない愛敬があります。
カエルがいろいろなキャラクターに使われるのもうなづけます。
また、アマガエルが鳴くと雨が降るともいわれています。
カエルは身近にいる生き物だけに、人間とさまざまな係わりをもっているようですが、実際にはどのように係わってきたのでしょうか。
幻覚作用をもつものもあるカエルの毒
物語に登場してくるカエルの中には、醜いものとして描かれるものがいます。その代表がヒキガエルでしょう。江戸時代に、歌舞伎などにも登場した、巨大なヒキガエルの背にまたがり妖術を使う「児雷也豪傑譚話(じらいやごうけつものがたり)」などは有名です。ヒキガエルは別名ガマとも呼ばれています。ガマはもともと中国語の呼び方がなまったものとされていますが、ヒキガエルは「気」でエサを「惹(ひ)き付け」て食べるというところから付けられた名前です。ヒキガエルは両眼の後にある耳腺のところから毒を分泌します。この毒には幻覚作用を引き起こすブフォトキシンという成分が含まれています。ところが、カエルは多かれ少なかれ、毒をもっています。ヒキガエルだけでなく、一般的にカエルに触った手を洗わずに、そのまま目をこすると炎症を起こします。きれいな色をしたアマガエルにも毒があるのです。弱い生き物であるために、最低限の自衛手段として、毒をもつようになったようです。また、カエルの皮膚は薄いので、細菌などに感染しやすいため、毒が一種の抗菌作用をもっているともいわれています。
ヒキガエルを鏡の前においても脂汗を流すことはありませんが、中国では古くからヒキガエルの毒を集めて固形化したものを蟾酥(センソ)といって強心剤に使っていました。
アマガエル。指先に吸盤をもち、跳び移った先の葉や小枝などに、しっかり掴まることができます。
体長10~20cm。牛によく似た声で鳴くウシガエル。食用ガエルとして利用されています。
どこにでもいる四六のガマ
ヒキガエルをイボガエルと呼ぶ人がいます。しかし、イボガエルはイボをもつカエルの俗称で、イボガエルという名前のカエルはいません。ところで、ヒキガエルといえば、筑波山にすむ、前足の指が4本、後肢の指が6本あるという四六のガマが有名です。四六のガマを鏡の前に置くと、自らの醜い姿にタラリタラリと油汗を流し、それを集めたものが、あらゆる怪我などに効くという「ガマの油」です。
ガマの油というのは耳腺から分泌される毒液のことで、これを集めて固形化したものは、古くから中国で薬として使われていました。日本では、大阪夏の陣、冬の陣のとき、負傷した兵隊の傷薬として使われました。その後、茨城のお百姓さんが江戸に出て、この薬を広めたとされています。このとき、普通のガマの油というだけでなく、特別なものという価値を付けるため、四六のガマの口上を考えたとされています。ただし、四六のガマというのは決して特別なガマではありません。カエルはすべて前指が四本、後指が五本です。ところが、ヒキガエルの場合は、後肢の付け根に指のような突起をもっています。それを数えればヒキガエルはすべて四六のガマということになるのです。
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