平安時代の書家・小野道風は柳の枝に飛びつこうとしているカエルを見て努力することを学んだとされています。花札に描かれているのはヒキガエルのように見えますが、ジャンプ力から考えて、アマガエルだとされています。アマガエルは、指先の吸盤と、体色を変化させることに特徴があります。また、アマガエルは気圧の変化にも反応します。雨が近づき気圧が下がると木の高いところへ登ろうとします。花札の絵でも小野道風は傘をさしています。
カエルが出てくる絵では、平安時代に描かれた鳥獣人物戯画(ちょうじゅうじんぶつぎが)が有名です。これは4巻の絵巻物で、このうちの甲巻に兎と相撲をとったり、弓をひくカエル、あるいは台座に座ったカエルに猿がお経を唱える絵など、いずれもユーモラスに描かれています。これらが何を意図しているのかははっきりしていませんが、ここに描かれているカエルはトノサマガエルです。トノサマガエルは、当時の日本を代表するカエルであったのかもしれません。
松尾芭蕉の「古池や かわず飛び込む 水の音」という有名な句があります。この場合のかわずは何というカエルだったのでしょうか。古池という言葉から静かな場所を連想し、チャポンという小さな音が周囲に伝わったとイメージすれば、アマガエルやアカガエルといった比較的小さなカエルです。ところが、芭蕉がこの句を詠んだのは江戸深川だとされています。そして場所から考えるとトウキョウダルマガエルかツチガエルではないかといわれています。となると、ドッボンといった大きな音であったようです。
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花札に描かれた小野道風の故事と、生誕地・愛知県春日井市に建てられた小野道風の像。花札に描かれているカエルはヒキガエルのように見えます。しかし柳の枝に跳びつくには、枝をしっかりと捕まえられるよう指先に吸盤があったほうが有利です。高いところに飛びつこうとする行動は、アマガエルの習性でもあるようです。 |
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