水の話
 
ひとつにつながる海と山

釣りを楽しみながら川を学ぶ
 馬瀬村では、水源地の山を魚つき保全林として守るというだけではなく、積極的に活用していこうという動きがみられます。平成15年4月から「馬瀬川フィシングアカデミー」が開かれます。これは単なる渓流釣り教室のようなものとは異なり、釣りを学ぶとともに釣りのマナー、魚と森の係わり、森林と水、流域の植物などの知識も学んでもらおうというものです。こうした試みは自治体としては全国でも始めてだということです。
村内の山林のうち、人工林の割合は約60%で、そのほとんどがスギ、ヒノキで占められています。しかし、魚つき保全林に指定した地域は、比較的広い範囲にわたり、広葉樹が残されています。樹種としてはヤナギ、ハンノキ、ケヤキ、ヤマザクラ、クロモジ、サワクルミ、フサザクラ、トチ、ヤマボウシなどなど多種にわたっています。

川1 川2
イワナ アマゴ 岐阜県馬瀬村の魚つき保全林構想は、村の財産でもある美しい渓流とそこにすむイワナやアマゴをはじめとした魚の保全という目的もありました。さらに水を守るためには、山全体を守る必要があるとの認識が村民の中に広まりつつあります。
(左2点写真提供:馬瀬村)

すべての山は魚つき林
せせらぎ 魚つき林というのは、特定の樹種の森を指しているわけではありません。また、水際から陸地の内部へ何メートルまでの範囲というものでもありません。水源地となるような森は、すべて魚つき林ともいえるのです。そうした意味からいけば、馬瀬村のすべての山林は魚つき林だともいえるのです。事実、馬瀬村では山林面積の3割近くを、民間の所有者や国の了解を得て魚つき保全林として設定する動きが進んでいます。
これまで山が海の魚を育てるといった発想から、山に植樹する漁民は増えています。しかし、山村の人々が水源を守り、川の魚を育てるために広葉樹の森を守ろうという動きはあまり多くはなかったようです。
また、河川の汚れの大きな原因となっている生活排水は、多くの人口を抱える中流域からの量が多いのは事実です。海と山とが一体であるならば、その中間に暮らす人々も一体になって川をきれいにする努力がもっと必要です。そうした動きが広まっていけば、日本の川はかつてのような美しい流れを取り戻すことになるでしょう。


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