岸辺にたくさんの水草が漂っています。昔、金魚と一緒に水槽の中でよく見た金魚藻です。大きなホテイアオイもたくさん浮かんでいます。いずれも夏の夜店で売られていました。でも、子どもの頃に見たこれらの水草は、もっと小型であったような気がします。目の前の岸辺で見られるものは、とても金魚鉢の中には入りきれないほどの大きさです。
金魚藻は、現在であまり聞き慣れない名前かもしれません。金魚藻というのはマツモ、フサモ、カナダモなどの水草の総称です。コカナダモやオオカナダモはもともと日本にあった植物ではなく、ホテイアオイと同じように外国から入ってきた植物です。金魚鉢の中に浮かんでいただけならば、コカナダモもオオカナダモも夏の風物詩としての地位を確立していたのでしょうが、いまでは湖や池、水路などの厄介者となっています。
南米を原産地とするホテイアオイは、暖かい時期になると、約2週間で倍々の勢いで増殖していきます。成長が早いということは、それだけたくさんの水中の窒素、リンなどを吸収することになり、水質浄化に役立つ植物ということで、汚れた池などに入れられています。同じように、熱帯アフリカが原産のボタンウキクサも1枚の葉が30センチにも成長します。しかし、これらの水草は急速に成長するため、あっという間に池などの水面を覆い尽くすことになり、その結果、水面と空気とが接触する部分を少なくし、水中への酸素の供給を低下させます。さらに水中への光も遮るため、水中の水草は光合成ができなくなってしまいます。ホテイアオイやボタンウキクサ自身も酸素を消費するので、水中の酸素はますます減少し、もともとその水域にいた水草や魚に悪影響を与えます。コカナダモやオオカナダモも水中で大増殖することがあり、大量に水面に浮かんだり岸辺に流れついたりする厄介者です。やがて枯れてしまうと、せっかく吸収した栄養塩を水中に戻してしまいます。
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ホテイアオイ(上)は繁殖速度が大変に早く「世界で最も厄介な水生雑草」と呼ばれています。
コカナダモ(下)の原産地は北米で、よく似たオオカナダモの原産地は南米です。日本で野性化しているのは雄株だけで、植物体の一部がちぎれ新たな株となって繁殖します。 |
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