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見た目は在来種とよく似ていても |
メダカとともに池や小川にいる魚の代表として知られていたのがタナゴ類です。そのタナゴ類にも大きな変化が起きています。いま一番問題となっているのが、在来のニッポンバラタナゴとアジア大陸から入って来たタイリクバラタナゴとの交雑です。タイリクバラタナゴは1942年に食用として中国から移植されたハクレンに混じっていたものが各地に広まったと考えられています。両者の交雑によって、純粋なニッポンバラタナゴは急速に姿を消しています。また、タナゴ類は二枚貝の中に産卵します。タイリクバラタナゴのオスはメスを呼び寄せて産卵させる二枚貝を確保すると、そこに縄張りを作ります。しかも攻撃性が強いため、他のタナゴ類は産卵するための二枚貝を確保できなくなってしまうことが心配されています。
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汚れた水でも生きられる魚 |
ひと昔前までは、小さな池や川など、水さえあればのんびりと糸を垂れる釣り人の姿を見かけました。ところが、最近は、昔に比べ釣り人の集まる場所が限られてきたように思われます。小さな池や川であったとしても、それらの場所から魚がいなくなったり、危険防止の柵が設けられて水辺へ近付けなくなったり、あるいは自然保護ということで釣りが禁止されている場所が増えたということが原因として考えられます。
釣りマニアにとって、結構珍重されている魚にライギョがいます。ライギョは、カムルチーとタイワンドジョウの総称です。両者とも、最初は食用として導入されました。ときどき水面に浮かんでいることがありますが、空気呼吸をするためです。そのため農薬のような汚染には弱いものの、無酸素状態の汚れた水でも生活が可能です。逆に空気呼吸ができない環境では死んでしまいます。小型の魚類やカエルなどを好んで食べ、1メートル前後にまで成長し、肉食性にふさわしいどう猛な顔つきをしています。そのため、在来魚への悪影響が懸念され、地域によっては放流や生きたままの販売を禁止して、捕獲が奨励されたこともあります。
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ブラックバスやブルーギルは生態系を破壊する生物として、釣り上げたらリリースをしないように呼びかけている地域もあります。 |
渓流にすむ魚にも危機 |
渓流釣りを楽しむ人がたくさんいます。イワナ、アマゴ、ヤマメといった魚は渓流魚の代表です。山奥の渓流に生息する魚は、かつて猟師や木地師といった山で働く人にとって貴重なタンパク源でした。彼らは非常食として、あるいはより多くの魚を釣るために、従来は魚がすんでいなかった上流の滝の上や、ときには山の向こう側の渓流に魚を移植したようです。
その後、山奥にまで道路が延びて、外から多くの釣り人が訪れるようになりました。そのような需要に応えるため、渓流魚の養殖技術が確立され、昭和40年以降は養殖場で増やされた稚魚や成魚が各地で放流されるようになりました。しかし、渓流にすむ魚は川筋ごとに独自の色彩・斑紋を持つことがあり、その遺伝的特徴も水系によって異なっています。そのため、メダカの場合と同じように、日本在来の渓流魚とはいっても、もといた水系と異なる水系に放流された場合は、その水域の魚が持っていた独自の遺伝的特徴が失われてしまいます。 |
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渓流魚と呼ばれるサケ科の魚であるイワナ、アマゴ、ヤマメは、もともと海と川の間を往来していました。しかし、氷河期が終わり地球が暖かくなると南に残されたものは水の冷たい上流へと逃れ、源流部で生き残りました。源流部以外で釣れる渓流魚には養殖、放流されたものもかなり含まれています。 |
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