水の話
 
市民・行政が一体となっての霞ヶ浦再生プロジェクト
コンクリートの岸壁で囲まれた小さな港には、エンジンがはずされ、半ば沈みかけた漁船が係留されています。
港の水は緑のペンキを流したような色をしています。アオコです。アオコは水質の劣化はもちろん、景観も悪化させます。いま、霞ヶ浦を抱える茨城県では、湖の再生に向かい大きく動き出しています。

アオコの大量発生は1960年代から
 真夏の太陽が照りつけています。台風の影響のためでしょうか、風が強く、湖面は波立っています。風が強いとアオコは拡散して、緑色の湖面にはなりません。その代わり湖は全体が茶色く濁っています。茶色といっても、泥が巻き上げられたときとは、少し違う色です。
霞ヶ浦の水は、農業用、工業用、そして飲料用にも使われています。霞ヶ浦流域に暮らす人々はこれまでにも、洪水、塩害など様々な問題と取り組んできました。そしていま、水質汚濁の問題に取り組んでいます。
霞ヶ浦に異変が現れ出したのは、1960年代の後半頃からです。アオコが大量に発生するようになったのです。それ以前にもアオコの発生はありましたが、局所的であったようです。この当時は霞ヶ浦に限らず、全国的に公害が問題となった時期でした。国は様々な法令をつくり、工場の排水を規制していきました。
茨城県も公害防止条例を制定し、工場や事業所からの排水を厳しく規制します。さらに霞ヶ浦の水質汚濁防止を図るため、水質汚濁防止法(1971年制定)の排水基準に、全国でも最も厳しい基準(上乗せ排水基準)を定めました。流域の住民も、無リン洗剤の使用運動、霞ヶ浦の清掃運動を積極的に展開していきました。
水質の悪化はいろいろな形で影響を与えています。かつて盛んであったワカサギの漁獲量の激減もそのひとつです。いまでは、早朝に漁から戻ってきた漁師の舟に、ワカサギの姿を見ることはほとんどありません。


港の水面を覆ったアオコ。防波堤の外側は波で拡散されたせいか、アオコはあまり見られませんでした。 アオコ
防波堤の外側

有毒なアオコも発生
 茨城県による厳しい排水規制や、住民による積極的な水質浄化運動が行われたにもかかわらず、霞ヶ浦の水質は改善されませんでした。流域人口の増加や活発化する産業による排水の増加と水質悪化に、排水規制や水質浄化が追い付けなかったのです。
霞ヶ浦へ流入する河川は56本、水量は毎秒42トンに及びます。一方農業用、工業用、飲料用として取水される量は現在、毎秒40トンです。霞ヶ浦に流入した水が入れ替わるのにかかる計算上の日数は約250日です。つまり、霞ヶ浦は長期間にわたり水が滞留する閉鎖性水域です。閉鎖性水域ではアオコの発生がよく問題となります。
アオコは千分の数ミリという非常に小さな藻類の仲間で、晴れた風のない日などに水面に浮遊します。ちょうど青い粉が浮かんでいるように見えるためアオコと呼ばれています。その代表として知られるのがミクロキスティスです。
アオコは悪臭を放つばかりか、水中の酸素を消費するため魚が酸欠状態となり大量死してしまいます。最近では青酸カリの60倍もの毒を持つアオコもしばしば発生し、海外では家畜や人に被害がでています。さらに霞ヶ浦では、球状のミクロキスティスに代わり、糸状のオシラトリアという悪臭を放つアオコが増加しています。
ミクロキスティス(群体)とアナベーナ(糸状)
ミクロキスティス(群体)とアナベーナ(糸状)
オシラトリア(糸状)
オシラトリア(糸状)
写真提供:(独)国立環境研究所バイオエコエンジニアリング研究室


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