茨城県による厳しい排水規制や、住民による積極的な水質浄化運動が行われたにもかかわらず、霞ヶ浦の水質は改善されませんでした。流域人口の増加や活発化する産業による排水の増加と水質悪化に、排水規制や水質浄化が追い付けなかったのです。
霞ヶ浦へ流入する河川は56本、水量は毎秒42トンに及びます。一方農業用、工業用、飲料用として取水される量は現在、毎秒40トンです。霞ヶ浦に流入した水が入れ替わるのにかかる計算上の日数は約250日です。つまり、霞ヶ浦は長期間にわたり水が滞留する閉鎖性水域です。閉鎖性水域ではアオコの発生がよく問題となります。
アオコは千分の数ミリという非常に小さな藻類の仲間で、晴れた風のない日などに水面に浮遊します。ちょうど青い粉が浮かんでいるように見えるためアオコと呼ばれています。その代表として知られるのがミクロキスティスです。
アオコは悪臭を放つばかりか、水中の酸素を消費するため魚が酸欠状態となり大量死してしまいます。最近では青酸カリの60倍もの毒を持つアオコもしばしば発生し、海外では家畜や人に被害がでています。さらに霞ヶ浦では、球状のミクロキスティスに代わり、糸状のオシラトリアという悪臭を放つアオコが増加しています。 |
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ミクロキスティス(群体)とアナベーナ(糸状) |
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オシラトリア(糸状)
写真提供:(独)国立環境研究所バイオエコエンジニアリング研究室 |
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