水の話
 
市民・行政が一体となっての霞ヶ浦再生プロジェクト

全国に先駆けて窒素・リン除去型浄化槽への補助制度
 霞ヶ浦の水質を改善するため、茨城県はこれまでに下水道事業等に多額の予算を投入してきましたが、水質の改善がなかなか進みません。下水道を整備するためには長期の年月が必要です。下水道の整備よりも早く水質汚濁の原因となる物質の増加が進んでしまえば、水質の改善が進むどころか悪化します。浄化槽ならば、下水道よりもはるかに早い工期と費用で設置が可能です。BODと窒素の除去に加え、リンも除去できる浄化槽があれば、霞ヶ浦の水質は大きく改善されます。
生活排水に含まれる窒素を10mg/l以下、リンを1mg/l以下にすれば、窒素とリンが流域外で処理された場合とほぼ同じ結果となり、霞ヶ浦の水質は大きく改善されます。この数値をもとにしてフジクリーンは日本で初めてBOD10mg/l以下、窒素10mg/l以下、リン1mg/l以下の性能をもつ電解方式の家庭用の窒素・リン除去型高度処理浄化槽CRX型を開発しました。茨城県でも、霞ヶ浦水質浄化プロジェクトによる窒素・リン除去型高度処理浄化槽の開発を受け、平成15年度から、霞ヶ浦流域で窒素・リンを除去する浄化槽の設置に対して補助する制度を全国に先駆けて創設しました。この制度に基づき、これまでに多くの高度処理浄化槽が設置されました。この制度は16年度からは国の制度としても取り入れられることになりました。
これまでもBODを除去する浄化槽には国庫補助が付けられてきました。ところが霞ヶ浦のような閉鎖性の水域ではBODの除去だけでは水質の改善があまり進まないこともわかってきました。そればかりか、いくらBODを除去しても、窒素・リンを除去できなければ、結果として水質は悪くなってしまいかねません。
茨城県では、かつて霞ヶ浦で泳いだという経験を持つ人がたくさんいます。これからの子どもたちに、再び霞ヶ浦で泳げる環境をつくることが大人たちの使命だと多くの人が語ります。高度処理浄化槽の課題は、維持管理をいかに適切に行っていけるかどうかです。そこで茨城県では市町村が設置して維持管理を行う市町村設置型の制度についても、国の制度と合わせて平成16年度から補助制度を始めました。より多くの高度処理浄化槽が設置され、維持管理が適切に行われていくならば、泳げる霞ヶ浦の実現は決して遠い未来の話ではなさそうです。

霞ヶ浦
霞ヶ浦 農業用
霞ヶ浦の水は淡水化されたことによって飲料用、農業用、工業用などに使われています。霞ヶ浦の水をきれいにすることは、この水を生活などに使っている水系すべての人々の願いです。


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