霞ヶ浦でアオコが大量発生するようになった原因は、窒素・リンの増加に加え、護岸改修による水草の減少や、かつて自然浄化が行われていた場所が開発されて消失するなど、霞ヶ浦自体の浄化力の低下が考えられます。しかも水深が浅く長期間にわたり水が滞留するため、藻類にとって増殖しやすい環境になっているからです。
茨城県では霞ヶ浦の水質を改善するためには窒素・リンの削減が重要との考え方に立ち、1981年には「茨城県霞ヶ浦の富栄養化の防止に関する条例」を制定し、霞ヶ浦の総合的な浄化対策を進めてきましたが、思うように水質改善がはかどりませんでした。その大きな理由として考えられるのが、窒素・リンの流入量の増加です。生活様式の変化による汲み取り式トイレの減少は、生活排水中の窒素・リンの増加をもたらす結果となったのです。
汲み取り式トイレの場合は、し尿を流域外の処理場まで運び出して処理します。処理場では窒素・リンも処理されます。一方、トイレの水洗化は浄化槽の普及を促しました。従来の浄化槽は生活排水からBODを除去するには効果がありました。窒素を除去する浄化槽も開発されていましたが、リンの除去を行うことができませんでした。さらに霞ヶ浦流域の人口の増加が窒素・リンの流入量を増加させていきました。
こうした中で茨城県は平成9年から14年まで「霞ヶ浦水質浄化プロジェクト」を実施しました。このプロジェクトの一つとして県内の研究機関、企業などとともに、窒素・リン除去型高度処理浄化槽の開発に力が入れられました。 |
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霞ヶ浦のほとりにある独立行政法人国立環境研究所バイオエコエンジニアリング研究所。この研究所でも、霞ヶ浦再生のため、様々な研究が行われています。 |
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