日本には八百万(やおよろず)の神々がいるとされ、全国各地の神社には様々な神様が祀られています。中にはちょっと変わった神様もいます。愛知県あま市にある萱津神社には日本で唯一の漬物の神様が祀られています。
言い伝えによると、伊勢湾が萱津神社の辺りまで入り込んでいたはるか昔のころ、神社の近くでは野菜だけでなく塩もつくられていました。村人たちはとれた塩や野菜を神社に奉納していました。ところがいつもたくさんの野菜が供えられていたので、余って腐らせていました。これではもったいないということで、塩と野菜を一緒に瓶の中に入れておいたところ、風味豊なものになったということです。そして日本武尊が東征のためにこの地を訪れたとき、村人の献上した塩に漬けた野菜を食べてたいそう喜んだとされています。
境内には茅葺き屋根の「香の物殿」という漬物のための社があり、毎年8月に「香の物祭」が行なわれています。祭では奉納されたウリ、ナス、ダイコンなどの野菜が並べられ、神事が行われたあとに香の物殿の中に漬け込まれます。野菜は2年ほど漬け込み、祭の時に取り出され、熱田神宮の例祭に奉献されたり、参拝者に振る舞われたりします。
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