生の食品を放置しておくと、やがてそれまでとは違う臭いを放ち、形が崩れていきます。このような状態を腐ると呼んでいます。ものが腐敗する原因は微生物です。空気中をはじめ、土や水の中、さらには人の体の表面や腸内にも様々な微生物がいます。これらの微生物は一定の条件さえ整えば増殖をはじめます。微生物が増殖をするための条件には一定の水分、栄養、温度、pHなどがあります。
一方、生の食品とはいっても、根から切り離された後の野菜や果物でも、一つひとつの細胞は生きています。そのため呼吸などが行われ細胞内の栄養が消費されます。古くなった野菜や果物が新鮮なものに比べて風味が劣るのは栄養が消費された結果です。そして根からの水分補給ができないため、細胞はやがて死滅していきます。細胞が死ぬと、細胞の中の有機成分は細胞自身の酵素によって自己分解をはじめデンプンが糖化されます。果物などは腐りかける直前が一番甘いといわれることがあるのは、そのためです。
こうして細胞の中のデンプンが糖に変わるなどの環境が変化をすることで微生物が繁殖をはじめる条件がつくられると、微生物が細胞の中のタンパク質やデンプンを分解しはじめます。 |