正栄丸はサケ定置網漁のための漁船です。この日の海は波もなくおだやかでした。正栄丸が照らし出す海面に、いけすのような網が見えてきました。サケを追い込むためか、海面をサオでたたきながら、船はゆっくりと進み、やがて止まります。船上のクレーンが引き上げる網の中には、サケがいっぱいおどっています。網を再び海の中へ戻し、次の網へと向かいます。船倉にサケを満たすと港へと急ぎます。こうした漁を、時には1日に2度行うこともあるのです。定置網漁は8月下旬から11月末頃まで続けられます。
1995年、全国のシロザケの漁獲は7700万尾以上を、北海道では5700万尾以上を記録しています。サケがたくさんとれるようになるのに従い、かつての高級魚から大衆魚へと移ってきた観があります。事実、サケの本場ではオス1尾が200~300円、500gほどの卵のつまったメスも1500~1600円という浜値で売られています。しかし、サケが大量にとれるようになったのは、長年にわたる努力があったからです。 |
国後島の影が、オホーツク海の中にぼんやりと姿を現す頃、定置網からサケを引きあげた漁船が標津の港へ帰ってきます。漁港は威勢のいい声に包まれます。
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