狭い茶室で使われる茶道用の炭は、煙などが出にくいといった実用面だけでなく、茶室をより哲学的な空間として作り出す美的なものが求められます。たとえ燃えて灰になる炭であっても茶器と同じ大切な茶道具でなければならなかったのです。そして、炭となったときも樹皮がしっかりと残り、切り口は中心から細かい割れ目が放射状に伸び、菊の花のようになった炭がいいとされるようになりました。その代表ともいえるものが、現在の大阪・池田市で作られるようになった池田炭と千葉県佐倉市で作られるようになった佐倉炭です。原木はクヌギです。
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左が白炭、右が黒炭
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白炭と黒炭
表面が灰のために白っぽく見えるのが白炭で、切り口から見てもいかにも硬そうです。それに対し、黒炭は密度が薄く柔らかそうに見えます。よく焼き締めた白炭のなかには金ノコギリでも切ることができないものもあり、そうしたものを短くして使うときには、ハンマーなどで叩き割ります。
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上が白炭、下が黒炭
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