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今後の汚水処理インフラを考える
「都道府県構想策定マニュアル」とは
■汚水処理整備計画の見直しの背景
先進国といわれる日本ですが、いまだ約1,200万人が汚水処理施設を利用できずにいます。また汚水処理施設の未整備だけでなく、過去に整備された汚水処理施設が耐用年数に近づき、建替えや補修などの更新時期を迎えていることも財政面からの大きな課題となっています。
平成26年1月、国土交通省・環境省・農林水産省が統一し、「都道府県構想策定マニュアル」(以下「マニュアル」)を策定しました。マニュアルでは、今後10年程度で汚水処理施設の整備を概ね完了させるとしています。整備区域の設定では、経済比較を基本としつつも時間軸等の観点、つまり整備期間を短縮し、10年で整備が完了するための手法の検討が求められています。よりスピーディーに、かつ経済的に汚水処理施設の未整備地域を解消するかが課題となっており、その解決策として、下水処理施設から浄化槽導入へと方向転換する市町村が増加しています。
下水道クイックプロジェクト
■下水道クイックプロジェクトにより、極小規模な下水処理施設が実現
国土交通省が未整備地域を解消するために進めているのが、下水道クイックプロジェクトです。
そのメニューの一つに「工場製作型極小規模処理施設」があります。RC躯体の下水処理場を建築するのとは異なり、工場で製作するFRP製の躯体を用いた極めて小規模な下水処理場で、地理的な制約を受けにくく、管路整備のコストも軽減できるなどのメリットがあります。
北海道苫前町の古丹別地区では、下水処理場までの間に主要国道や流雪溝があり、管路整備にかかるコストが大きくなるという課題がありました。そこで社会実験として地区の一部を「工場製作型極小規模処理施設」で整備することとなり、フジクリーンのFGU型(接触酸化型)を設置しました。
これにより建設コストは49%削減、建設工期も75%短縮、維持コストも大幅に削減できることが確認され、新技術として全国展開可能な状態(技術の一般化)となりました。今後の汚水処理施設計画において新たな選択肢として注目を集めています。