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アカネ |
ヤマモモ |
ザクロ |
タマネギ |
ヤシャブシ |
アイ |
ハーブ |
シコン |
ゴバイシ |
色の違いで表した身分の差 |
紫といえば、昔から高貴な色とされています。中国から日本へ染料技術が伝えられると、同時に地位や身分を表す服の色も導入されました。その最初が603年に定められた冠位十二階だとされています。つまり冠の色で位階を表し、服も冠と同じ色に定めました。その後、冠の色は黒に統一され、位階は服の色で表されるようになりました。
冠位十二階が制定されたとき、最高位の色は紫とし、以下青、赤、黄、白、黒と定められたのです。ところが、中国ではもともと紫は卑しい色とされていました。一方、西洋では紫色は貝紫といわれ、レイシ貝、ニシ貝などの鰓下腺(さいかせん)からとられていました。美しく、耐久性があるのですが、大人のガウン一着を染めるのに5万個もの貝を必要としました。そのため非常に高価なものとして、帝王など、ごく一部の人しか用いることができませんでした。その後中国で紫が高貴な色となったのは、こうした西洋の影響もあったのではないかといわれています。
ところが、紫は非常に特殊な色で、色彩学上では存在しないのです。コンピューターで解析していっても測定値の中に出てこないのです。人の目には感覚としては見えるのですが、科学的に測定しても出てこない「想像上の色」だというのです。そして、紫が人に与える感覚は、他の色とは全く異質だとされています。
冠位十二階で定められた紫以外の5色は、中国の陰陽五行説にならってあらわされたといわれますが、その後、位階制度は何度も改定されています。そして平安時代以降は黄櫨色(はじいろ)、白が天子以外は用いてはならない色とされ、紫は3番目の色で、最高位ではなかったのです。
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合成染料の発見は19世紀 |
人が染色を行うようになってから、染色技術は発達していきますが、基本的には植物を使った染色でした。19世紀に入り化学技術を利用して人工的に染料を作り出すことに成功します。そのもとになったのが石炭化学によって作り出されたアニリンです。
1856年、イギリスのパーキンがこのアニリンを使いマラリヤの薬キニーネを合成しようとして、絹を赤紫色に染める色素を発見しました。これが世界最初の合成染料モーブです。そして天然の藍から取れる色素インジゴ、茜の主成分のアリザニンが化学的に合成されるようになりました。日本にも合成染料がどんどん入り込み、明治30年(1897)頃を境に天然染料はほとんどが合成染料にとって代わられてしまいました。
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