そして天然藍染による注染(ちゅうせん)という方法も完成させます。布地に模様を染める方法はいろいろあります。たとえば型紙や筆を使い、防染糊で布地の上に絵を描きます。それを染液に浸しても、防染糊のついている部分には色がつきません。これを浸染(しんせん)といいます。浸染は防染糊をつけた表には模様ができますが、裏面は全体が染まります。
これに対し、長い布地に型紙で同じパターンをつけ、しかもパターン同士が完全に重なるように折り重ね、上から染液を注いでやると布地の表も裏も防染糊で染まるとこはありません。これが注染という方法です。
ところで、藍で染めるには染液につけた布を一度空気にさらさなければなりません。その作業を繰り返すことによって色を濃くしていくのです。注染は布を何重にも折り重ねてあるため、何度染液を注いでやっても、最後に布を広げたときにしか空気にふれる機会がありません。常識的には、天然藍での注染は不可能だということです。それを成功させたのです。
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型紙を使い、同じパターンを防染糊で描きながら重ね合わせ、染液を注ぐ注染法。藍染では不可能とされていたのを、古庄さんがはじめて完成させました。 |
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